276.察して ページ29
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「とにかくラップ専門じゃない俺よりは、ちゃんとラップポジションの練習生の方に見てもらった方がいいと思うよ。……あ、ジョンウ兄さんはどうかな？ ユジンは前回ジョンウ兄さんと同じチームだったし、相談しやすいよね。練習の時にジョンウ兄さんに言ってみるよ」
「え、ナナ兄さん、」
「ん？ ユジン、どうしたの？」
「……えっと……僕……」
何故か言い淀むユジン。
一体どうしたのだろう。ユジンはジョンウ兄さんに懐いていたはずだし、ジョンウ兄さんはラップが上手いし、何も変なことは言ってないはずなのだけれど。
「僕？」
「う……あの……」
「あ〜！ ナナは分かってないなあ！」
「い゛っ！？ ……ちょっとケイタ、いきなりなに？ びっくりした……」
ユジンの顔を見つめながら聞くもユジンは答えてくれない。ユジン、大丈夫？ と言おうとしたところで、突然隣のケイタが私の背中をバシン！と勢い良く叩いた。痛みよりも、叩かれた音でびっくりしてしまって。肩が跳ねたし、目も見開いてしまった。
何かを食べている途中じゃなくて良かった。そう思いながら「分かってないって？」とケイタに視線を向けて聞くと、ケイタらわざとらしくため息をついてきた。顔も呆れている感じで。
「ほんっと分かってないな。ユジンはさ、"ナナに"見てもらいたいんだよ」
「俺に？ どうして？」
「そりゃナナが大好きだからだろ。こんなこと言わせんなよな〜。ナナって変なとこで察し悪いわ」
「……そ、そうですよ！ それくらい言わなくても察してくださいよ！」
声を上げるユジンの顔を見れば、若干赤くなっていた。
「……少しでもナナ兄さんと一緒にいれる理由が欲しかったんです。同じチームじゃないからなかなか会えないし。……ナナ兄さんは迷惑ですか？ それなら仕方ないですけど……」
「や、そんな訳、」
「じゃあいいですよね？」
「……俺で良ければ？」
戸惑いながら言えば、ユジンはぱあっと瞳を輝かせて「約束ですからね！」と小指を出してきて。
「……ん？」
「指切りです。ナナ兄さんも小指出してください」
「そんなことしなくても約束は守るけど……」
「……」
ユジンにしばらく無言で見つめられ、耐えられなくなった私は「わ、分かったよ……」と仕方なく小指を出す。
(なんだか、ユジンにはいつも流されているような……)
にこにこと満足気な顔で指を絡ませ指切りをするユジンを見ながら、そう思った。
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アップルパイ(プロフ) - なのこ5546さん» いつもコメントありがとうございます！ 更新してすぐ読んで頂いて本当に嬉しいです。書いてる自分もしんどいな……と思っているので、早く明るいシーンまで行きたいなとなってます……🥲 これからも更新頑張るのでぜひよろしくお願いいたします。 (8月4日 3時) (
レス) id: a55c9bddea (このIDを非表示/違反報告)
なのこ5546(プロフ) - 最新話読みました！思わず、ナナー！！！！って叫んじゃいました😭アップルパイさんの小説大好きなのでこれからも更新楽しみにしています💘 (8月2日 7時) (レス) @page22 id: 2327b9d39c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アップルパイ | 作成日時：2023年7月24日 22時
