273.偉い ページ26
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「あ、そうだ。いま俺ユジンのラップ見ててさあ」
「ラップ？ ユジンが？」
ひとりなら一緒に食べよう、とケイタとユジンと言われ。断る理由も無かったし、何より理由が分からずハンビンに小さな拒絶をされ、ただでさえ色々なことが重なって下降気味だった気分が更に落ちてしまっていた自分には二人のいつもと変わらない態度が有難かったから、頷いて一緒に朝食をとることにした。
朝食をとりながら他愛ない会話をしていたら、思い出したように隣に座っていたケイタがそう口にして。ユジンがラップ？ 思わず目を瞬かせて、目の前に座っているユジンの顔を見たら、ユジンは恥ずかしそうに頷いた。
「『LAW』、ラップ&ダンスだから当然ラップの作詞をしなきゃいけないけれど……僕のチーム、カムデン兄さん以外ラップポジションの人がいないじゃないですか」
「ああ、確かにそうだね」
『LAW』チームはカムデン、ズーハオ、パクビン、イェダム、ユジンだから、確かにカムデン以外はラップポジションじゃない。
「それでカムデン兄さんがひとりだけだと大変だからもうひとりいて欲しいって言ったんですけど、みんな自信がなさそうだったから……僕がやるって言ったんです。一応習ったことはあるから」
「……ユジン、ちょう偉いね」
「……そうですか？」
「うん。なんだか感動。ユジンは本当に出来たマンネだね」
他の『LAW』のメンバーもユジンがやると言ってものすごく助かっただろうな。そんなことを考えながら、かつて「お姉ちゃんが教えてくれたから……」とおずおずと100点のテストを見せてくれた上の弟のことをふと思い出す。あの時に「頑張ったね、偉いね」と上の弟の頭を撫でてあげたように、ユジンの頭を撫でたい衝動に駆られてしまう。絶対だめだけど。
「じゃあ撫でてください」
「えっ」
「……だめですか？ ケイタ兄さんもこの話したとき偉いな！って撫でてくれましたけど……。ナナ兄さん、本当はそこまで偉いって思ってないんじゃ……」
「そ、そんなことないよ！ ……う……じゃあ……失礼します……？」
ユジンのしゅんとした顔を見ていられなくてケイタの方を見たら、ケイタは「さっさと撫でてやれ」と言うようにユジンに視線を向けた。
「ユジンは偉い、ね……」
結局流されるまま椅子から腰を浮かせて手を伸ばして、ユジンの頭を撫でる。ぎこちない私とは真逆に、ユジンはとても幸せそうで、ケイタは面白そうな顔だった。
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アップルパイ(プロフ) - なのこ5546さん» いつもコメントありがとうございます！ 更新してすぐ読んで頂いて本当に嬉しいです。書いてる自分もしんどいな……と思っているので、早く明るいシーンまで行きたいなとなってます……🥲 これからも更新頑張るのでぜひよろしくお願いいたします。 (8月4日 3時) (
レス) id: a55c9bddea (このIDを非表示/違反報告)
なのこ5546(プロフ) - 最新話読みました！思わず、ナナー！！！！って叫んじゃいました😭アップルパイさんの小説大好きなのでこれからも更新楽しみにしています💘 (8月2日 7時) (レス) @page22 id: 2327b9d39c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アップルパイ | 作成日時：2023年7月24日 22時
