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272.大好き ページ25





「お、ナナじゃん! おはよ!」

「ケイタ……とユジン」


 私の返しに「ぜったいにちゃんと食べてよ! ぜったいだからね!」とハンビンは念押して、それからはっとしたように「じゃあまた!」と私に背を向けて『TOMBOY』のみんなの元に駆け足で行ってしまった。
 私から離れていくハンビンの背中、合流した『TOMBOY』のみんなと楽しそうにやりとりをするハンビンの横顔。それらをぼんやり眺めて立ち尽くしていたら、ふと後ろからケイタに話しかけられて。振り返ると、ケイタの隣にはユジンもいた。

 私が笑顔で「ふたりともおはよう」と言うと、ユジンはぱあっと瞳を輝かせて「おはようございます、ナナ兄さん!」と嬉しそうに返してくれた。朝食の乗ったお盆を持っていなかったらきっと抱きつかれていただろう、なんて想像する。



「ふたりでごはん?」

「そ! 昨日約束してさー。寝る前にユジンが明日一緒に朝ごはん食べたいです〜って。ほんっとかわいいよなー」

「もう。ケイタ兄さん、やめてくださいよ」

「あはは、ふたりとも仲良いね」


 肘でユジンをつんつんと突いてからかうケイタと、それにまんざらでもなさそうなユジン。そんなふたりを見ながら、つい笑みがこぼれた。

 別のチームなのにわざわざ約束して一緒に朝食を食べるなんて。ユジンとケイタとはそれぞれ話すことが多いから、ユジンがケイタに懐いていてケイタもユジンを可愛がっていることは当然知っていた。それでもちょっとびっくりしてしまうし、何だか微笑ましく思ってしまう。




「ナナはひとり? さっきハンビンと話してたみたいだけど」

「あー……うん。ハンビンはトムボーイのみんなと食べるみたいだから。邪魔しちゃ悪いから」

「ええ? あの面子なら邪魔とかないだろうけどな。全員ナナのこと大好きメンバーじゃん」

「なにそれ」


 フェテク兄さん、ジャンハオ兄さん、ゴヌク、そしてハンビン。確かに『TOMBOY』のメンバーとはよく関わっているけれども、みんなが私のことが大好きかって言われると微妙というか。もちろん嫌われてはない、むしろ好かれているとは思うけれど、大好きまで行くと自意識過剰な気がする。

 そんなことを思っている私に、ケイタは「俺もナナのこと大好きだけどなー」と口にして。ユジンも「ぼ、僕だって……負けてないと思います!」と恥ずかしそうに、でも何処か強気な顔で言った。
 何を張り合っているんだろう、この人たちは。つい苦笑いをした。





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アップルパイ(プロフ) - なのこ5546さん» いつもコメントありがとうございます! 更新してすぐ読んで頂いて本当に嬉しいです。書いてる自分もしんどいな……と思っているので、早く明るいシーンまで行きたいなとなってます……🥲 これからも更新頑張るのでぜひよろしくお願いいたします。 (8月4日 3時) (レス) id: a55c9bddea (このIDを非表示/違反報告)
なのこ5546(プロフ) - 最新話読みました!思わず、ナナー!!!!って叫んじゃいました😭アップルパイさんの小説大好きなのでこれからも更新楽しみにしています💘 (8月2日 7時) (レス) @page22 id: 2327b9d39c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アップルパイ | 作成日時:2023年7月24日 22時

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