「君は悪くない」6

250.嫌な予感 ページ3

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「この曲の最も高いキーがCです。高音パートをどう歌いこなすのか楽しみです」


(この曲は……やらない方がいいだろうな)

　ミニョク先輩の説明にみんなが「高い」とか「メインボーカルたちは狙いそう」と反応しているのを見ながら思う。高音パートには自信がある。でもN͜͡umberのファンはヨンジュがこの曲が好きだったことを知っているだろうし、それを私が歌うのは過去の事を思い出させて明るい曲調が台無しになってしまう気がして。それに、この曲は好きな女性に全てを捧げて尽くそうとする男性が描かれているけれど、私のキャラクターではそれを上手く表現出来ない気がする。

 そう考えているうちに、ボーカル＆ラップポジション最後の曲であるIU先輩の『봄 사랑 벚꽃말고(Not Spring, Love or Cherry Blossoms)』、ボーカル＆ダンスポジションであるBTS先輩の『Butterfly』、TWICE先輩の『Feel Special』、MONSTER X先輩の『Love Killa』が公開されていく。


(うーん……自分はボーカル＆ラップポジションかなって思ってたけど、バラードが無いし……だったら『Butterfly』か『Feel Special』かな)

 創作ダンスは自信がなかったけれど、こうなったら仕方ない。チームに役立てるように頑張ろう。そう納得しながらも、ボーカル＆ダンスポジション最後の曲はなんだろうと思う。既に発表された曲から考えたら、激しくてかっこいい感じの曲かな、それだったらやっぱり『Butterfly』か『Feel Special』の二択になるな、そうぼんやりと考えていたら、何故かミニョク先輩が私の顔を見て。視線が絡まった。



(……なんだか、嫌な予感がする)

 ミニョク先輩の何処か申し訳無さそうな、悲し気な目に、急に胸騒ぎがした。なんで今、ミニョク先輩がそんな目で私を見るのだろう。一番最初、登場した時にそんな風に見られるのはまだわかる。N͜͡umber時代、ミニョク先輩とはそれなりに親交があったから。ヨンジュだって、フェテク兄さん程では無いけれどCUBEの先輩だったミニョク先輩を尊敬してたし、懐いていた。

 でも今更、ボーカル＆ダンスポジションの最後の曲を発表するタイミングで、どうしてミニョク先輩がそんな顔を私に向けるんだ。



(……まさか、)

 いや、そんな訳。だって、条件には。




「……ボーカル＆ダンスポジション最後の曲です」

 ミニョク先輩がそう言って、シールを剥がして曲があらわになった瞬間。その衝撃に私の目は大きく見開いた。





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