265.吐き止め ページ18
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(やっぱり消えない……)
部屋に戻った後。洗面所でうがいをした後に、私は深いため息をついた。また、吐いてしまった。胃の中は空っぽで、代わりに口は胃酸の味がする。
スンオンを練習室に残してトイレで吐いた後、当然すぐに口をゆすいだけれど、苦味と酸っぱさが混じったその味はまだ口の中に残ったままで。結局もう一度することになってしまったし、きっとこれはしばらく無くなることはないだろうなと思う。だって、昨日からずっと吐いているから。味をはっきりと覚えてしまっているのだ。何度口をゆすいでも意味がない。
(どうせ出しちゃうんだから、いっそ食べない方がいいだろうな……毎度毎度吐いたら、作ってくださった方に申し訳なさすぎる……)
吐くという行為は身体的なストレスを与えるじゃなく、食べた物を出してしまったという罪悪感に苦しめられることになるんだったと再確認する。ヨンジュが亡くなった時も、日本に帰った時もそうだった。兄さん達や家族のみんなはストレスでどんどん痩せていく私を心配して、少しでも食べやすいものを用意してくれたけれど、それがむしろ逆効果だったというか。私を思ってわざわざ用意してくれたものを自分の意思とは関係なく吐いてしまうというのは、本当に苦しかった。
(でも全く食べないと流石に変だろうし……吐き止めを飲む？ 完全に止められるわけじゃないし、副作用がないわけじゃないから出来れば飲みたくないけどれど……あの時みたいに声が出なくなるよりはずっとましだから)
そう思った途端。また気持ち悪くなってしまって、自分は本当に馬鹿だなあ、と思う。さっきだってそうだ。本当に馬鹿げていた。こうなることはわかっていたのに。何を期待していたのだろう。何をしたって、もう二度と、わたしは。
(……そうだ、お風呂に入らなきゃだった)
ふと扉の外からジョンウ兄さんとスンオンが話す声が微かに聞こえて、はっとする。私がさっさとお風呂に入らないと、二人も静かに寝ることが出来ない。
とりあえず明日からは食べる量を最低限まで減らして、吐き止めと、喉を痛めないためののど薬を飲もう。確か両方とも常備薬として兄さん達が入れてくれていたはずだ。きっとこれを使ったと知ったら、兄さん達は怒って悲しむだろうけれど。仕方がない。
(……あと、もうあんなこともしない)
そう決めてから、小さく息をついて。服を脱いで、シャワーを浴びるためにお風呂場に入った。
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アップルパイ(プロフ) - なのこ5546さん» いつもコメントありがとうございます！ 更新してすぐ読んで頂いて本当に嬉しいです。書いてる自分もしんどいな……と思っているので、早く明るいシーンまで行きたいなとなってます……🥲 これからも更新頑張るのでぜひよろしくお願いいたします。 (8月4日 3時) (
レス) id: a55c9bddea (このIDを非表示/違反報告)
なのこ5546(プロフ) - 最新話読みました！思わず、ナナー！！！！って叫んじゃいました😭アップルパイさんの小説大好きなのでこれからも更新楽しみにしています💘 (8月2日 7時) (レス) @page22 id: 2327b9d39c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アップルパイ | 作成日時：2023年7月24日 22時
