呼び方ひとつで ページ16
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画廊からの帰り道を、とぼとぼと歩く。
今日はありがとう、また来てねって見送るジミンさんはどこか痛々しくて、この人も救ってあげたいと思った。
『ただいまー。』
家に着くと返事はなくて、まだ誰も帰って来てないんだなってわかる。
一足だけ靴はあるから、きっとテヒョン君はまた部屋にいるんだろう。
少し重たい足取りでリビングへ向かうと、キッチンにいるテヒョンくんとばっちり目があった。
『え。』
「あ。」
状況が掴めなくてしばらく見つめあう。
「あ、ごはん、作ろうと思ったんだけど...勝手に触ってごめん。」
そう言うテヒョンくんの前には、ボウルに入れられたお米と、食器用洗剤。
『もしかしてだけど、お米洗おうとしてた？』
「...うん。でもよくわかんなくて...」
やばい。この子に料理をさせたらみんな死んでしまう。
『一緒にやるから！ちょっと待ってて！』
急いで手を洗ってエプロンをつけて戻ると、そのままの姿勢で大人しく待っていた。可愛い。
一緒に料理を始める。と言ってもほぼ私がやっているのだけれど、１つ１つの動作になるほどー、とかすごい、とかこぼすテヒョンくんが新鮮で可愛かった。
......今なら、言えるかな。
『テヒョンくん。昨日はごめんね。勝手に部屋に入って、踏み込み過ぎた。』
そう言うと、少し俯き加減になるテヒョンくん。
「...俺も、言い過ぎだった、と思う。昔、色々あって、俺、その事になると今でもどうすればいいかわかってないんだ。ほんとに、ごめん。」
『私、今日ジミンさんに会ってきたよ。』
テヒョンくんの驚いた顔を見て、私は続けた。
『テヒョンくんの昔のこと、聞いちゃった。ごめんなさい。』
「......そっか。」
そう言って笑うテヒョンくんは少しホッとした顔で、もしかしてテヒョンくんは誰かに知って欲しかったのかな、なんて勝手に思った。
『今日話を聞いて、再確認した。...テヒョンくんのこと、もっと知りたい。過去の事実だけじゃない、キムテヒョンっていう1人の人間を、もっと知りたいの。
だから私と、友達になってください。』
テヒョンくんの方を見ると泣きそうな顔で、それでも目が離せないくらい綺麗な笑顔で。
「テテって呼んで、A。」
『っ...うん！テテ！』
たかが呼び方１つだけど、宝物みたいに大切なことに思えたんだ。
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kaho(プロフ) - みーたん♪さん» みーたん♪さんありがとうございます｡ﾟ(ﾟ´ω`ﾟ)ﾟ｡また更新していくので応援よろしくお願いします！ (2017年7月17日 5時) (
レス) id: 551b2f72f9 (このIDを非表示/違反報告)
みーたん♪(プロフ) - 温かくって好きです。更新頑張って下さい。 (2017年5月31日 21時) (レス) id: 443256ac3c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kaho | 作成日時：2017年3月17日 22時
