コーヒーの香り ページ34
_
「はい。砂糖控えめミルク多めな。」
好きな味、覚えてたんだ。コーヒーを受け取ると、いい香りが鼻をくすぐった。
「......」
沈黙が続く。昔からそうだった。
彼は自分から何も聞かないで、こっちが話したくなるまで待ってくれるのだ。
そんなところがありがたくて、私は好きだった。
『...コーヒー、おいしい。』
「...おう。」
『私ね、ヘマしちゃったんだ。』
コーヒーを飲みながら、ポツリポツリと話し始めた。
仕事でミスをしたこと。明後日までに商品を集めなければならないこと。
オッパのことは、認めたくなくて言わなかった。
「...そっか。」
再び続く沈黙。
不思議と嫌な気はしないその沈黙に甘えて、私も何も言わなかった。
「コーヒーってさ、すげえの。」
いきなり話し始めた彼に怪訝な目を向けると、こちらを見て優しく笑っていた。
「コーヒーは集中力あげてくれるってよく聞くじゃん。でもそれだけじゃなくてさ、この香り、アロマ効果があるんだってさ。」
『...へえ。』
「今日はここで羽伸ばして、ゆっくりして、気が済んだら送ってくよ。今日はよく頑張った。今日の頑張りは、ぜってえ明日に繋がると思うぜ。」
今日はよく頑張った。
その一言がすっと心に入ってきて、目頭がぐっと熱くなった。
変わらないな...
『...ありがと、ユンギ...オッパ。』
そう言うと目を見開いてこちらを見た後、優しく笑って頷いた。
_
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 700人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
きき - ここで終わり.......すごく楽しく読んできたからショック！続きはだしてもらえませんか？(><) (2020年4月23日 8時) (
レス) id: a646f46467 (このIDを非表示/違反報告)
未緒(プロフ) - 更新 待ってます。 (2019年4月10日 21時) (レス) id: 7e7e321463 (このIDを非表示/違反報告)
あき - 更新してほしいです (2018年7月27日 23時) (レス) id: f0a56d10c7 (このIDを非表示/違反報告)
ユン - なぜこれで完結しているのでしょう… (2018年7月8日 13時) (レス) id: 99e77d7118 (このIDを非表示/違反報告)
じあ(プロフ) - 凄い面白い！！続きが気になりすぎます！頑張ってください！ (2017年7月29日 20時) (レス) id: eff2d09bf8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：kaho | 作成日時：2017年3月14日 11時
