◆032 ページ32
・
『…話聞いてた？』
「うん。ただ、どこの誰だかわからない奴が相手になるなら、俺の方がマシだろ。」
“俺がお前の夢を叶えてやる。
お前にとって愛する本物のいい旦那にはなれないけど
一緒に過ごしていく中でいい旦那にはなってやれる。”
そう言ったキムソクジンの顔は
一切冗談を言っているような顔ではなかった。
真剣そのものの顔で、思わず唾を飲み込んだ。
「じゃあ……
今、拒否する機会を与える。
これが拒否できる最後の機会。」
”嫌なら、今言って”
”何も言わないなら、このまま結婚成立とする”
淡々と進めていくこいつに、言葉を詰まらせる私。
『い、今？』
「うん、今。」
『…』
何も、言葉が出てこなかった。
いつもの私なら、嫌に決まってるでしょ！と言えたはずだが、真剣に話すこいつを見てなのか、こいつに言われた言葉にときめいてなのかそれはわからない。
ただ、”嫌だ”と言う言葉が出てこなかった。
「いいんだね？」
流れる時間がとても長く感じた。
シンと静まり返った部屋にキムソクジンの声が響く。
息をするのを忘れていた私に
キムソクジンは再び問いかける。
「…いいんだね？」
『……っ、』
”嫌だ”、”やらない。”
こいつに、そう言える時間が十分ある筈なのに。
拒否をする時間は十分に与えられてる筈なのに。
私は、その時間を利用しなかった。
「”やっぱり無しです”は、ないよ。」
目を見てそう言うこいつに、私は静かに頷いた。
「じゃあ、今度は本当の本当に成立ってことで。」
キムソクジンは”きまり”とソファーから立つと
”寝る”と言って伸びをした。
『ヤー、』
「あー。
好きな部屋でも使って。俺の部屋以外」
“詳しい話は明日〜”と自分の部屋へ向かったキムソクジンにリビングに、取り残された私。
…好きな部屋使ってって……。
・
両親にとって、私の結婚はどれほど嬉しいだろうか。
一生恋愛なんてしない、一生結婚なんてしないと泣き喚いたあの日から今日まで、私は両親に一度も結婚の話をしてこなかった。
…これが偽物だとしても、何か変わるだろうか。
.
……私自身、なにか変われるだろうか。
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アイアイ(プロフ) - 内容が好きすぎて何度も見返してます❤️更新待ってます！続きが気になります！ (8月9日 21時) (
レス) @page43 id: ef22ae402e (このIDを非表示/違反報告)
ソア(プロフ) - WWHさん» ありがとうございます😭なかなか更新できずにいたのですがこれからはちゃんと更新していきますのでよろしくお願いいたします🥺 (2022年8月13日 1時) (レス) id: f38870ceaa (このIDを非表示/違反報告)
WWH(プロフ) - 初めまして✨いつも見させていただいてます！！このソクジンの口調といい全部最高すぎます！！これからも応援してます~😭 (2022年8月11日 16時) (レス) @page41 id: 91cce3d1cc (このIDを非表示/違反報告)
ソア(プロフ) - しいんさん» うわああああ😭そんなこと言っていただいて本当に嬉しいです🥲🥲これからこのお話もどんどん更新していこうと思っているので、よろしくお願いいたします！！😭😭😭 (2022年2月4日 23時) (レス) id: f38870ceaa (このIDを非表示/違反報告)
しいん - うあああ…最高すぎます泣できちゃった恋愛をみて主様に恋しちゃいました！！これからも頑張ってください！応援してます~~！ (2022年1月22日 0時) (レス) id: 4349a34933 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ソア
| 作成日時：2021年9月9日 14時
