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◆029 ページ29








車に乗り込んだ私たちはしばらくダンマリ。


どうして、私がトラブルに巻き込まれてることに気がついたのだろうか。

一気に安心して気が緩んだからか、自然と溢れ出す涙をキムソクジンはただ黙って拭いてくれた。





『…もう、平気』





私が泣き止んだことを確認すると、車は動きだした。




今日、こいつが来なかったら
私はどうなっていただろうか。



ずっとあのトイレの中であいつの怒鳴り声を聞いて
恐怖を味わっていたのだろうか。





「どうしてこうも
トラブルに巻き込まれやすいやつなんだか。」

『しらない』





ズルズルと鼻を啜る私を横目で見て、
キムソクジンはゴソゴソとティッシュを取り出し
私に差し出した。




『あり、がと』

「これじゃお守り()と変わらないな」

『あんたねぇ!』

「怒ったり泣いたり忙しいやつだな。」




“感情がコントロールできない子供かよ”
なんて嫌味をつくコイツは
信号で止まると私の顔を覗きこむ。




「頼むから、鼻水は自分で拭けよ」

『鼻水出てる?』

「自分で確認しろよ」




こいつが見えた瞬間、私は心の底から安心したんだ。
怖くてたまらなくて震えてた足や体がピタッと止まって
まるで、魔法にかかったかのようにもう大丈夫だって思えた。






「今日は実家に帰る?それとも普通に自分の家?」

『ん〜…実家行っても心配されるだけ、だしな。』







私がいきなり実家に帰れば、オンマとアッパは私に何かあったんじゃないかって心配するに決まってる。





「…俺の家来る?」

『……は、』





いま、なんて?




「そんな驚くことじゃないだろ、
初めてじゃないんだし。」

『なに言ってんの、
アンタの家なんて行ったことないけど』





.






.








『あぁ……ホテルじゃなくて、
アンタの家なんだ、ここ……』





結局コイツの家にお邪魔させてもらうことになった私だが、2度目の訪問にあの日の記憶が蘇って誠に気まずい。







『ホテルじゃなかったんだ、ハハハ…』

「なにブツブツ言ってんの、これ着替え。
俺のだけどサイズ的にはピッタリでしょ」

『ブカブカに決まってんでしょ、はっ倒すよ』





ブッ、と吹き出して笑うコイツに
やっぱ今日の感謝の言葉は言わないで
心の中にしまっておくことにした。






『笑うな』

「ブッ、肩幅がピッタリ」

『なわけないでしょ、
どう見たってブカブカだし!』






ウザイもんは、ウザいままだった。

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アイアイ(プロフ) - 内容が好きすぎて何度も見返してます❤️更新待ってます!続きが気になります! (8月9日 21時) (レス) @page43 id: ef22ae402e (このIDを非表示/違反報告)
ソア(プロフ) - WWHさん» ありがとうございます😭なかなか更新できずにいたのですがこれからはちゃんと更新していきますのでよろしくお願いいたします🥺 (2022年8月13日 1時) (レス) id: f38870ceaa (このIDを非表示/違反報告)
WWH(プロフ) - 初めまして✨いつも見させていただいてます!!このソクジンの口調といい全部最高すぎます!!これからも応援してます~😭 (2022年8月11日 16時) (レス) @page41 id: 91cce3d1cc (このIDを非表示/違反報告)
ソア(プロフ) - しいんさん» うわああああ😭そんなこと言っていただいて本当に嬉しいです🥲🥲これからこのお話もどんどん更新していこうと思っているので、よろしくお願いいたします!!😭😭😭 (2022年2月4日 23時) (レス) id: f38870ceaa (このIDを非表示/違反報告)
しいん - うあああ…最高すぎます泣できちゃった恋愛をみて主様に恋しちゃいました!!これからも頑張ってください!応援してます~~! (2022年1月22日 0時) (レス) id: 4349a34933 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ソア | 作成日時:2021年9月9日 14時

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