陽炎（Ohno×Nino） (ページ14)

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気づけば寝てて、
もうカーテンの隙間からは光が差し込んでいた。

鏡を見ると目は腫れていて
急いで冷凍庫に入っていた保冷剤をタオルに包んで冷やす。

N「酷い顔」

食欲はない。

大きな溜息をひとつして
僕は準備を始めた。

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いつも通りの時間にジュンくんはインターホンを鳴らした。

僕もいつものように「待った?」なんて言って
車の助手席に乗り込む。

M「よく眠れた?」

N「おかげさまでぐっすり」

M「ならよかった」

お前のせいで昨日仕事大変だったぞ!

なんてたわいもない話。

車の中にはジュンくんの趣味なのか
静かにオーケストラの音楽が流れている。

M「つーか、部長がすごい勢いでお前の心配してたぞ」

N「えっ?サクライ部長が?」

僕はくすくす笑う。

M「"熱冷まシート!?お粥?"みたいな感じで」

N「何それ」

信号で車が止まって窓の外を眺めると
ひとつの店が目に入る。

N「Lily・・・・。」

M「んっ?どうかした?」

N「昨日、隣に人が引っ越してきたんです」

M「へぇなんていうやつ?」

N「オオノさん」

M「へぇ～男?」

N「うん、それも成瀬さんにそっくりな」

ジュンくんが驚く。

M「この前会った奴か?」

N「うん。」

M「そっか…」

車は会社に着くまで
ずっと沈黙だった。