【WT】君が笑える未来がいい (ページ10)

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8.「巡回」ページ10

「増援を要請しますか？」

「ううん、これくらいなら1人で捌けるから大丈夫」

遠慮がちにオペレーターから投げられた問いに「ありがとう」と礼をつけ加えて断る。

視界には山となったトリオン兵の屍が2つ。
今日はいつにも増して門(ゲート)の数が多い。これも大規模侵攻の前触れなのか、と考えて陰った心を追い払うべく頭を振る。

「後方からトリオン兵が接近、警戒してください！」

指示に従って素早く振り返り、視認する。
丸いボディにカマキリのような4つ足、トカゲのようにするりと伸びた尻尾。数十メートル先でこちらを見下ろす、戦闘用トリオン兵、モールモッド。

標的を確認したところで夜間の防衛任務用に特別にサプレッサーをつけた突撃銃を構え直し、弱点である口の中央にある単眼を狙う。人の頭の一回り二回りもあるそれは非常に当てやすく、間もなくして動作が停止した。

周囲にトリオン兵が残っていないか軽く確認してから危険区域の見回りを再開する。

こんなことを言ったら怒られてしまうんだろうけど、トリオン兵の駆除に程よく追われてる間は余計なことを考えずに済むので酷くありがい。
1度考え込んでしまったら、再び動き出せそうになかった。

暫く辺りを警戒しながら巡回していたら遠い上空で重たい扉が開くような音がした。
見上げるとブラックホールのような黒い空間の歪み。こちら側(玄界)とあちら側(近界)を繋ぐ、唯一の門が今にも開かれようとしている。

「門(ゲート)を確認。最短経路(ルート)を教えて」