【WT】君が笑える未来がいい (ページ9)

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7.「後任」ページ9

けたたましく鳴る携帯の着信音でハッと我に返る。

どうやら、風間さんが踵を返した後も床に縫いつけられたかのようにとどまり続け、考えに沈んでいたようだった。

蛇に睨まれた蛙もこんな気分だったんだろうかと自嘲しながら発信者を確認する。表示されたのは、中央オペレーターの文字。

「はい、こちら鈍池。」

大方防衛任務だろうと脳裏にシフトを思い浮かべながら応答する。今日は確か18時から26時まで巡回任務が入っていたはずだ。

「は、初めまして後任オペレーターとして着任しました…！」

返ってきたのはあどけなさの残った女の子の声。緊張した声色で軽い自己紹介と、前任の子が無事に希望部隊に加入できたこと、彼女の代わりに今後の防衛任務のオペレーター業務を自分が担当すること、間もなく防衛任務の時刻であることが告げられた。

前々から私の方からも上層部に進言していた亜麻色の髪が綺麗なあの子。そうか、無事に部隊付きオペレーターになれたのか。ほっと胸をなでおろし、携帯を切る。

それから息を吸い込み、深くゆっくりと吐き出す。

なんのためにボーダーにいるのか、これから何をするべきなのか。今の私には何一つわからない。
それでも、仕事はしなければならない。
市民は絶対に守るべきものだと、思う。

ポケットに入れていたトリガーを取り出し強く握りしめ呟く。

「トリガー起動(オン)」