【WT】君が笑える未来がいい (ページ3)

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1.「新人」ページ3

開発部からの依頼で支部を数日留守にしていた間に新入りが3人。
それはまだいい。私は桐絵と違って来るものを拒まないので一向に構わない。

でもその代償は、流石に重すぎるじゃないか。訪れるのかもわからない“より良い未来”なんかのためにどうして、そんな賭けを、1人で。

本部の廊下ですれ違った太刀川さんから話聞いた時は流石に作り話だと思った。後で宇佐美に確認したら事実とのことで頭が痛い。何を考えているんだあいつは。

「ほんっっっっとうに信じらんない。新人のために乱闘したとかいうあのバカここにいる？」
久しぶりに訪れた支部の扉を荒々しく開ける。

「あっAちゃん！ちょうどいい所に。この3人が新人さんだよ～」

遠征目指してるんだって！と宇佐美の声がする方に目を向けるとソファに座る見覚えのない3人組が。

「右のメガネ同盟くんから順に、修くん遊真くんチカちゃん」

宇佐美の軽い紹介に乗じてペコペコと律儀に会釈する3人。

「あー、さっきの喚きは気にしないで。全部こっちの話だから」
恐らく真ん中の白髪が近界民(ネイバー)なんだろう、なんとなくそんな雰囲気を感じる。こりゃ中の人を確認せずに乗り込んだのは悪かったなぁと頭をかいた。

「私は鈍池A。他の子と違って暇な時間が多いから訓練生の指導を手伝ったり開発部と色々考えたり、所謂雑務で本部にいることが多いかな。まあ、ただのB級だから気楽に接してね」

「Aちゃんはとっても珍しいソロ隊員だから昇級してないだけで実力は折り紙つきだよ～」

「なんでニブイケ先輩はチームには入ってないんだ？」
首を傾げる仕草とともに見た目ににそぐわない白髪がふわりと揺れる。至極真っ当な疑問だと思う。
綿毛みたいな髪だなぁなんて思考を飛ばした。

「特に意味は無いんだけどその方が都合が良かったから、かな」

彼が1人なのに私まで隊に入るのが嫌だった。