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その日は、友達がいい子を紹介すると言うので、食事をセッティングしてくれた場所で、俺は数人の女の子と話してきた帰りだった。
正直、うんざりだった。
どいつも「有名人目当て」で、本当の俺には興味もなさそうで……余計にむなしくなった。
かと言って、どんな子がいいかと言われると、それもよく分からない。
あんまり他人に興味がないんだな、俺。そんな自分が、ちょっと嫌だった。
何人かの女の子の誘いを断って、俺は一人リンクに向かっていた。何も考えず、滑りたかった。
その日もいつもの道を通って、そのままリンクに向かうつもりだったけど……。
そこにぼんやり立っている女の子がいた。
可愛い子だった。顔が整っているというか、なんか綺麗な感じもあって、佇まいというか雰囲気が可愛かった。
飄々としてるんだけど、どこか危なっかしいというか……。不思議な感覚だった。
なんだか、俺はほとんどヤケクソで、ナンパでもしてみようかな〜と思った。けど、やめた。
そこまで落ちたくない。プライドが許さない。
女の子は誰かを待っているのか、周囲に時々視線を向け、壁に寄りかかるように立っている。
……偶然の、いや、運命の出会いを、作ればいいんじゃないか？
頭の中でそんな声が聞こえた気がした。
考えがまとまらない中、身体が勝手に動く。
「すみません」
……女の子は気付いていないみたいだ。
「あの……？」
女の子が、ぱっと顔をあげた。なんだか不審そうだ……。
俺は安心させるように、ちょっと微笑んでみた。
……気付いたかな？ 俺のこと、知ってるかな。
女の子の顔色は、特に変わらない。
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作者名：mirin | 作成日時：2020年4月5日 17時
