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◇◇◇
あのとき無理にでも、Aを連れて行けばよかったのかな。
どんなに問いかけても……答えなんてないのはわかってるのに。
それでも俺はまだ、あの時の答えを探してる。
コンビニは、奏多くんのマンションから徒歩4分くらいの場所にある。
一番近いし、品揃えもいいし、俺たちは大抵の用事はここで済ませていた。
俺たちは、お茶のペットボトルとジュースをカゴに入れ、ついでに大量にお菓子も買って、コンビニを出た。
「ゆづ、買いすぎじゃね?」
「Aさんもいるし、一颯くんもたくさん食べるだろうし、大丈夫でしょ」
家についてドアを開けると、まず二人の笑い声が聞こえたのは、はっきり言ってちょっと意外だった。
「ただいま〜」
リビングに入ると、Aさんが振り返った。
「おかえりなさい。ね、羽生くん、一颯くんて面白いね〜!」
「俺は何も面白いことをしてるつもりはないんだけど……?」
「ほら、アハハ、ウケる!」
「今ののどこが!?」
なんだなんだ……? なんか、えらく仲良くなってるじゃん。
まぁ……Aさんは周りを振り回す系の面白さで、一颯くんは振り回されやすい性格だからな……。
一颯くんは恥ずかしいのか、真っ赤だ。
それを隠すように、買ってきたばかりの麦茶を飲む。
一息ついてから、一颯くんは俺たちに向き直った。
「……で、俺はひとつ聞きたいんだけど」
「なに?」
一颯くんは、にやっと笑った。
「二人の、馴れ初め」
……どきっとした。
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作者名:mirin | 作成日時:2020年4月5日 17時