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ぴぴぴぴぴぴ〜ぴ〜ぴぴ〜♪
…………来た。
今度はためらわず、携帯を開いた。
[着信:A]
私も羽生くんのこと好きです。
よかったら付き合ってください。
…………俺は言葉を失った。
思考も一瞬、止まった。
俺は、イエスかノーしかないと思ってたから。
……いや、まあこれも要約すればイエスってことなんだけど。
Aさんは……俺のこと、好きだから付き合おうとしてくれてる。
なんともいえない罪悪感が、またこみ上げてきた。
こんなふうに応えてくれるAさんと……俺は付き合う資格あるのか……?
……でも、もう引き返せない。
これから好きになればいいんじゃん……。
だいたいAさんのこと嫌いではないし、嫌いじゃないってことは好きってことだし。
ほんとのことにしてしまえばいい。
俺は必死で、俺を支配しようとする罪悪感を抑えた。
いつもの倍くらい時間をかけて、返信する。
[送信:A]
ありがと。マジで嬉しい。
……これは、うそではない。
さてと。
俺は携帯を閉じると、充電器に繋げた。
……俺は、Aさんに俺がフィギュアスケーターだってこと、秘密にしておくことに決めた。
そのことでAさんの気持ちが変化したら嫌だし、変に態度変えられてもウザイし。
もしそれがAさんにバレたら……たぶんそのときが、俺たちが終わるときだ。
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作者名:mirin | 作成日時:2020年4月5日 17時