【ポケモン】旅の途中で【短編集】 (ページ4)

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家に帰ろうとするといつもは見ない人影が見えた。
オレンジ色の髪色に紫色のトレーナーを着る少年、。
弟の幼馴染でライバルかつ親友のグリーン。
グリーンはAに"ボンジュール！A"と挨拶をしてきた。
ナマイキなところが目立つ彼だが、Aにとっては頼れる年下の男の子だった。

親身にAの相談に乗ってくれるからだ。
"無理すんなよ！なんかあったら絶対言えよな！"と言い手を振って行ってしまった。

茜色の空が何故か虚しく感じる。
すぅーっと冷たい風がAを通り抜ける。
憂鬱ながらも家への足を動かした。

"ただいま"帰ってくるはずのない挨拶をする。
あぁ、返事が欲しくなってしまう自分を哀れんだ。

すると、階段のから弟が降りてくる。
目があってしまった、。
弟はぷいっと違う方を向き、リビングへ行ってしまった。
きっと、自分の荷物を整理するために2階にいたんだろう。

...あ、れ？旅に行ったとしても戻ってくるだろう。
なのに何故、２階に行った？
その疑問が頭に残るが、今日は出かけたため早く眠りにつきたかった。

風呂から出て、自分の部屋に入ると異様な匂いがした。
鼻腔を劈く異様な匂い。
可笑しいと思いつつ、流石にこの匂いの中眠るのはキツい。
肌寒くなるが、窓を開け眠りについた。

カーテンから漏れる淡い陽光とポッポ達の囀りに目が覚める。
顔を洗うため部屋を後にした。

階段を降り、ふと玄関を見る。
そこには靴を履き出かけようとする弟がいた。
眠い中、目を凝らして弟の顔を見ると少し、口角が上がっていた、それと同時に"行ってきます"と言った気がした。

それが最後だった。
弟がいなくなっては、何にも言われなくなった。
価値観を押し付けてきた大人達も最初は何かを言っていたが、Aの耳には入っていなかった。

劣等感からの解放に浸っていた。
嗚呼、これからどうしようかその輝かしい未来を見ていた。

あれから10年程...Aはカントー地方の大都市で働くようになっていた。
この日常がAは好きだった。
多忙ながら楽しめるこの大都市が。
改めてマサラタウンを出て良かったと思った。

今日も、変わらぬ日常。
茜色になった空を少し寂しく感じながら家に帰った。
Aは一人暮らしなので、自由にご飯を作り、自由に出掛ける。

...家に帰ろうとするとありえない人をみた。