episode2 ページ2
ガチャッ
「…」
見慣れた玄関に、初めて見るスニーカー。
真新しいスポーツブランド、
どう見てもメンズもの。
だけどこれも珍しくはない
ガチャッ
ユキ:おかえりーねえ、ちょっとこっち来て!
姉のユキは
頻繁に彼氏が変わる
その都度私に彼氏を紹介する
これも私にとって惨めな時間だ
毎度毎度、これがお前の妹?と言わんばかりの視線を浴びせられる
天然な姉がそれを知る由も無い
リビングに行くとテレビ前の二人がけのソファーの端に一人の男の人が座っていた
ユキ:座って座って。
「…」
リュックをおろし、一人がけのソファーに腰を下ろした
その時に初めてその彼の顔を見た
…凄い綺麗な顔の男の人だな
これが新しい彼氏?
前のホストみたいな顔の彼氏は終わったのか?
それも3ヶ月ぐらい前じゃなかった?
『妹さん?』
ユキ:そう、噂のA。
…噂ってあんた何話したの?
私が苦い顔をしてるのも気付かず姉は彼の隣に座った。
ユキ:A、こちら吉沢亮君。
「…初めまして」
ペコッと頭を下げると彼はニコッと口角を上げ同時に目尻を下げて笑みを浮かべた
…好青年ってこういう人のことを指すよなぁ
ユキ:でね、さっき話してたんだけどAの男嫌い克服するの吉沢君が手伝ってくれるって!
…また勝手なことを一人で決めてる
私は初対面の相手にそんな恥ずかしいことを既に知られてしまっているのか
「勝手なことしないでよ、私治す気無いから」
リュックを持ちリビングから音を立てて出て行った。
バタンッ
物心ついた頃には
私は姉が大嫌いだった
美人でスタイルが良くて、その上愛嬌もあって
要領が良いから何をやってもうまくいく
彼氏が途切れたこともない
反対に私はその姉と比べられて育った。
姉とは正反対で真顔の時は口角が下がっている
高校生になって髪型や軽い化粧をするようになってやっとブスがまともに見える
成績も極端なので悪いこともある
そんなのどちらが可愛がられるかなんて分かりきってる
両親は姉ばかり可愛がった
姉には好きなことをさせた
そして、私の好きな人はこう言った
"え、あの人お前の姉ちゃん?"
"ほんま似てへんなぁ、美人とブスで。"
…何で今になって思い出すんだろう
コンコンッ
ガチャッ
え?
『失礼しまーす』
「⁉な…なんですか」
私の部屋に先ほどの彼が入ってきた。
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Y H(プロフ) - 完璧でない夢主ちゃんなんて初めて見て、とても引かれました。 (2019年11月14日 20時) (レス) id: f0597afb21 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:君との時間。 | 作成日時:2018年12月21日 17時