君と描く物語９

＃４４７ ページ47

天元side


天元｢伊黒、ちょっといいか？｣

人気の少ない時間帯の職員室で、デスクに座って資料を纏める伊黒に声を掛ける

小芭内｢何だ？｣

天元｢今日の夜、時間貰えねえか…飯奢るからよ｣

小芭内｢何故お前と…っ｣

俺の滅多に無い誘いに、不信感丸出しの顔で驚く伊黒

天元｢いいだろ！？たまにはよう！｣

小芭内｢煉獄も来るのか？｣

天元｢いや、俺とお前のサシで…｣

小芭内｢…！？益々怪し過ぎる……｣

天元｢お前まじで失礼だな｣

小芭内｢日頃の行いのせいだろう｣

天元｢いいから…！仕事終わったら行くぞ｣

怪しむ伊黒に半ば強引に約束を取り付ける

ちょっと飯誘っただけでこの言われ様って…別に俺そんなに普段悪行働いてねぇだろっつーの！

……でも、どうしても伊黒に聞きたい事があるんだ


そしてその夜、お互い仕事を終えて学校を出る
向かったのはいつもの居酒屋

奥の角席に案内してもらい、向かい合う様に腰を下ろして頼んだ酒を喉流し込む

小芭内｢…で？話したい事があるのだろ？何だ｣

天元｢いきなりかよ…もっと前振りとか雑談とかよ…｣

小芭内｢…そんな浮かない顔をした奴が何をぬかしてる…早く本題に入りたいって顔に書いてあるぞ｣

天元｢うぐ…っ…お見通しかよ…｣

小芭内｢宇髄がそんなに余裕が無くなるって事は…Aの事か？｣

天元｢………あいつ、最近目に見えて元気が無いんだ

しかも、その原因を俺には話そうとしない…
聞こうとした訳じゃないけど、たぶん今俺が何聞いても話してくれそうな感じじゃなくてさ

お前、何か聞いてないかなって思ってよ…｣

小芭内｢…俺もAから相談事は受けてはいない…｣

天元｢そ…っか…｣

一か八か、伊黒なら本人か…または姉の方からでも情報が行ってるかと思ったんだけど…外れたか…

そう思って肩を落としかけたその時

小芭内｢相談を受けてはいない、が…｣

天元｢…が？｣

小芭内｢何に悩んでいるのかは、もしかしたら予想がつくかもしれん｣

天元｢…！？どんな事でもいい！読みが外れててもいいから教えてくれ！｣

小芭内｢…ここ暫くAに元気が無いのは俺も分かっていた

これはお前には言うつもりはなかったんだが…

実は前に、Aと進路の事でちょっとな｣

天元｢…進路って、でもあいつ別に難易度の高い大学に挑戦しようとかって訳でもなかっただろ？何で…｣

小芭内｢その挑戦しない事(・・・・・・)が問題なんだ……｣

天元｢それ、どう言う…｣

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