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もう先生、先に美術室着いてるかな…
少し小走りに人の波を掻き分けて美術室に向かっていると、校舎を抜けて直ぐの中庭の辺りで視界の端に入ったのは
待ち合わせしているはずの宇髄先生の姿だった
良かった…先生まだ美術室には……
A「…」ピタ…ッ
先生を待たせていないとわかって安心したのもつかの間…
一瞬で私の心にもやもやした感情が芽ばえる
その原因は、親しげに先生の腕に絡んで話す女生徒達の姿を目にしたからだった
去年まで居た先生の取り巻きをしてた先輩達が卒業して、その人達に遠慮して近付けなかった当時の二年生が最高学年になった今
よく宇髄先生の周りに居るのを見掛ける様になった
…そんなにベタベタしなくてもいいじゃない
普段も距離は近いと感じるのに、今日はお祭り気分も相まって更に近く感じる
……もし、私がこの場所から離れて先生の近状を簡単に知る術が無くなったら
私はきっと、凄く不安になってしまうんだろうな……
先生の事を信じてないわけじゃない…
寧ろ先生が私を大切に想ってくれてるのは、先生の声色や表情…仕草から溢れる程に伝わってくるからよく分かってる…分かってるけど…
私が、自分に自信が無いんだ……
いくら先生が私の内向きな考えを少しずつ変えてくれたと言っても、それでも100%自分を肯定できるとまでは…
A「…あ」
一人でそんな事を考えながらふと視線を先生に戻すと、先生と視線がぶつかるのを感じてはっとする
先生は少し申し訳なさそうに私に目配せをした直後、何とか腕を絡めていた女生徒達を引き離した
それを確認して、先生も直ぐに美術室に来るだろうと思い急いで美術室に足を向けた
ガラァ…
天元「悪ぃ…三年のやつに捕まってて」
A「ふふ、大変でしたね」
手には美味しそうな匂いをさせた出店の商品をぶら下げた先生が、少し疲れた様に美術室に入ってきた
A「この匂い…焼きそばとベビーカステラですか?」
天元「正解。何がいいか分かんなくって適当に選んできちまったけど良かったか?」
A「ありがとうございます!嬉しいです」
天元「奥行って食うか」
A「はい!」
好奇心だけを抱えてこの地を離れて、それに勝る不安と戦える自信はない
先生の周りには私よりも素敵な人達がいつでも沢山居て、その人達は 先生が私を好きかどうかなんて関係なく先生に接触してくる
その時私は、絶対大丈夫って言える何かをもってるなんて……言えないな…
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レモネード - 宇髄先生も気持ちは同じなんだね。でも夢主ちゃんも宇髄先生の気持ちをきちんと汲み取れればいいんだけど……なぁ。ますます新章が気になるなぁ。夢のことが現実にならなければいいんだけど……。 (2021年7月23日 15時) (レス) id: 029fc8293f (このIDを非表示/違反報告)
momoko19960430(プロフ) - レモネードさん» 宇髄先生が理由に勘づき、何か大きな決断をしたようですね…。宇隨先生の気持ちを、夢主はちゃんと汲み取れるのか……それとも、これを聞いても意思は変わらないのか……そして宇髄先生の最悪な選択肢が何なのか…。新章で遂に大きく動きだします (2021年7月23日 7時) (レス) id: 97219a3715 (このIDを非表示/違反報告)
レモネード - やっぱり宇髄先生も伊黒先生も気にしていたんだね……。梅ちゃんやカナヲ達には相談できたけど、先生と一緒にいたいという事だけは言えれなかったね…。先生と向き合って話をして、答えが見つかればいいんだけどなぁ…。 (2021年7月22日 14時) (レス) id: 029fc8293f (このIDを非表示/違反報告)
momoko19960430(プロフ) - レモネードさん» 周りには真剣に向き合って話を聞いてくれる人が沢山いることを、分かっているつもりでも…やっぱり根本には内気な性格が消えずにありますね…そこを早く打破しないと、、、 (2021年7月21日 21時) (レス) id: 97219a3715 (このIDを非表示/違反報告)
レモネード - おみくじの言葉も気になるよね……。それにクリスマスの時は仕事だったから会えなかったけど、宇髄先生は寂しかったのね。もっと周りの友達や先生達にも色々と相談しておいたらまた違う答えが出ていたのかなぁ? (2021年7月21日 1時) (レス) id: 029fc8293f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:P | 作成日時:2021年6月24日 13時