君と描く物語９

＃４０１ ページ1

体育祭が終わり、生徒達が捌けたグラウンド
昼間の賑やかさとは変わって、殆ど人気の無くなったここは 静かに話すには丁度いい

A｢…ごめんね、呼び出して……童磨くん…っ｣

童磨｢全然！寧ろ君からの呼び出しなら、いつだって大歓迎だよ｣

相変わらずの笑顔で私の元へ歩いて来る

思えば初めて会った時から、童磨くんはずっと笑顔だった
私と仲良くしたい……そう言ってくれた…

けど、今のままじゃ…また今日の無一郎くんみたいな事が起きてしまうと思うから


だから、ちゃんと言わなくちゃ…！

私の大切な人達と……私を大切だと思う人達を守る為に…っ

A｢……童磨くん！もう…私の事 連れ去ろうとするのやめて欲しいの…！｣

童磨｢…それは、もう君に近付くなって事…？｣

私の精一杯の叫び…それを聞いた彼は、最初こそきょとんと目を丸くしていたけど
すっと真剣な顔に戻りそう言った

A｢違う…そうじゃないよ！そうじゃなくて…｣

私に近付かないで欲しいとか、そんな事じゃない…

A｢私に話し掛けてくれるのも、私と仲良くなりたいって思ってくれるのも凄く嬉しい

だけど、この前や今日みたいに突然 どこかへ連れて行かれたりすると
皆が慌てて探してくれたり…場合によっては危険な目に合わせてしまう事になるから

だから、私には普通に接してくれたら嬉しいな…
他の誰かと居ても 話し掛けてくれて大丈夫だから…

私もちゃんと…童磨くんとお友達になりたいよ｣

一方的なやり方じゃなくて、ちゃんと対等に接して仲良くなりたい
童磨くんだって、私の事を良く思ってくれる大切な人には変わりないから…

でも このまま こんな出来事が続けば、私の周りにいる人達からの童磨くんへの対応も好感度も悪くなる一方で

それじゃ、せっかく私と仲良くなりたいって思ってくれてる童磨くんの事 守りきれなくなっちゃうし


こんな事言ったら、また梅ちゃんや無一郎くん達に 人が良すぎるって怒られるかもしれないけど…

童磨｢…｣

A｢…童磨…くん……？｣

私の顔をじっと見たまま動かない彼の顔を覗くと、驚いた様な…そんな顔をしていた

A｢大丈…夫…？｣

童磨｢…あぁ、うん…いや…何かびっくりしちゃって｣

A｢…？何に？｣

童磨｢君は……僕にとって、最初からずっと初めて(・・・)の子だから｣ｽｯ

A｢……それは、どう言う…｣

私の頬に触れた彼の手は、今までとは違う……ただただ優しい温もりを感じた

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