＃６４ ページ14
無一郎side
A｢無一郎くん！｣
少し遠くの場所から、僕の名前を呼ぶ声がして隣に居る兄さんと同時に振り返る
A｢ﾊｧ…よかった、まだ間に合って…！｣
さっきの教室から走って来たようで、僕達の目の前に着くなり息を整える為に一度俯いたその人
…確か、この人僕のペアだった人だ…名前なんだっけ？
まぁいいか、どうせ今日限り会う事もないし
他人に興味を持つのが苦手だ
だってどうせ相手だって
幼い頃から他に比べて感情の起伏が小さかったけれど今ほどでは無かった
楽しい事があれば笑うし、嫌な事があれば怒った
でも毎日のある積み重ねが、僕達の感情の凹凸をすり減らしていった…
｢えっと…どっちが有一郎くんで無一郎くんかな…？｣
｢二人ともそっくりで見分けがつかないわねぇ｣
何それ、そんなの言い訳だ
ちゃんと見ようとしてないだけでしょ？僕達のせいにしないでよ…
親戚もクラスメイトも、誰一人だって僕達の事を見分けようとはしてくれなかった
だから僕達は諦めた、求める事を
その思考に落ち着いた後は多少楽になった
求めなければ傷付かないし、傷付かなければ人を恨む事もない…だから僕達にも期待しないで
何か秀でた才能も、別に皆に認めて貰う為の物では無い
自分達が自分達の為に導き出した歩く道なだけ
だからこの人がさっき言った事も、僕はきっとすぐ忘れ去って
言葉所かこの人の事すらも忘れるんだろう
A｢無一郎くん、忘れ物だよ｣ｽｯ
無一郎｢…え｣
そう言って、迷わず僕の手を取り
僕が忘れたのであろうペンをぎゅっと握らせてきた
僕は驚きのあまり目を丸くして動きが止まる
A｢これ無一郎くんのだよね？｣
無一郎｢…なんで｣
A｢なんでって…さっき無一郎くんが座ってた席の足元に落ちてたから、そうかなって…｣
無一郎｢違う、そうじゃなくて…！今なんで…僕の方が無一郎だってすぐ分かったの…？｣
さっき名前を呼ばれた瞬間だって、僕と兄さんの振り向くタイミングは同時だった
背格好も表情も同じ僕達を、この人は今 容易に見分けたって言うのか…？有り得ない
家族以外、今まで見分けられた事なんて一度も…
A｢え？どうしてって…確かに私も教室で見た時は驚く程似てると思ったけど…
無一郎くんとは目を見て話をしたから、ちゃんと見ればどっちが無一郎くんなのかはわかるよ｣
無一郎｢…！｣
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momoko19960430(プロフ) - お酒さん» 誤字脱字が気になったので一部手直ししましたー！ (2021年6月14日 13時) (
レス) id: 97219a3715 (このIDを非表示/違反報告)
お酒 - 2021/06/13、めちゃくちゃ投稿しましたね！！暇だったんですか？？ (2021年6月13日 23時) (レス) id: 48240712ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：P | 作成日時：2021年1月20日 13時
