君と描く物語１２

＃５９５ ページ45

｢間もなく○○、○○。お出口は右側です｣

自宅の最寄り駅の名前が車内に響き降りる準備をし始める


ゴールデンウィーク初日という事もあり、駅構内は人の数も多くて
お土産を片手に歩くには狭く感じる程だった

ﾋﾟｯ

A｢ふ〜…やっと改札出れた…｣

近くの段に荷物を一旦置いて、人混みに疲れた体を少し休ませる

とりあえず駅に着いたって連絡を…

そう思い携帯を取り出した瞬間

｢荷物持ち、手伝いましょうか？お嬢さん｣

A｢…！｣

横から声がして振り向くと

天元｢よう｣

A｢え…迎えに来てくれたんですか！？｣

天元｢お前、帰省の度にお土産とか大量に持って帰ってくるからな

今回もそうだろうと思って荷物持ちに参りました｣

A｢お見通しですね…｣

天元｢Aの事だからな｣ｶﾞｻｯ

笑顔でそう言いながら私の横にある紙袋をひょいっと片手で持ち上げる

そして…

天元｢ん｣ｽｯ

A｢…？｣

紙袋を持った手とは反対の手を私に向けて差し出してじっと私を待つ姿に、何事かと止まっていると

天元｢…ったく…そろそろ慣れろよな｣ｸｽｯ

A｢あ…///｣

差し出された手の意図を全く理解しない様子に笑いながら、私の手を掬い上げて指を搦めてくれて
そのままゆっくりと私の歩幅に合わせて歩き出す

先生と堂々と外を歩ける様になって直ぐに地元を離れてしまったから、未だに先生とこんな風に手を繋いで歩く事に慣れない

A｢…///｣ｿﾜｯ

天元｢ふっ…いつまでも初々しいな｣

A｢…どうせ先生とは違って子供っぽいですよ｣ﾌﾟｲｯ

手を繋いで歩くだけでそわそわしてしまう私を見て笑う先生の言葉に、何だか悔しくて拗ねてみせる

天元｢悪ぃ悪ぃ…あんまり可愛かったからさ

…つーか呼び方戻ってんですけどー…｣ｼﾞｰｯ

A｢あっ…つい…///｣

実は卒業してからずっと帰省の度に呼び方について言われてて、普段意識してる時は名前を呼べるけど
ふとした瞬間に、今みたいに先生呼びになってしまう

出会ってから先生呼びしてた時間の方が長いから…
意識しなくても呼べる様になるまでには、まだ時間が…

ｸﾝｯ

A｢…！？ど…どうしたんですか？｣

急に立ち止まった先生に驚いて顔を覗くと

天元｢足が疲れた…名前呼んでくれたら元気出るんだけどなー…？｣

A｢えぇ…！？///｣

もう…先生はまたそう言う事を…///

A｢…ー〜っ…行きますよ、天元さん…！///｣

天元｢…！……おう｣ﾆｯ

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