君と描く物語１２

＃５８４ ページ34

天元｢ん“ん…！……と、まぁ…何はともあれ

こうして全員揃って見送れて嬉しいよ…

そして、明日からはそれぞれ別々の道を歩く事になる

きっとこの先…その道の途中には新しい出会いや経験にぶち当たって、少なくとも上手く行かない事も出てくるだろう

その時に、ただ辛いと嘆くのも…すぐに逃げ出すのも簡単だ

逃げる事が悪いと言いたいわけじゃない

ただ、逃げる前に…一旦立ち止まって、ここで過ごした時間思い出してバカ笑いしてた事とか…
努力して成し遂げた事も思い出して、もう一度だけ踏ん張ってみて欲しい

それでも駄目だった時は、逃げても投げ出してもいい

そんでいつか、数年後にまた誰も欠ける事無く元気な顔見せてくれ

そん時までくたばらずに待ってるからよ！｣ﾆｯ！

｢…ｸﾞｽｯ……｣｢…っ｣

A｢…っ｣

あぁ、本当に卒業なんだ…ここを巣立つんだ

いつもと変わらない風景…クラスの雰囲気…皆の笑い声

どれも今まで当たり前だったものが、一歩先に進んでしまえば全て懐かしい思い出になる


共に汗を流して戦った体育祭も、一丸となって一つの物を作り上げた学園祭も

いろんな人と出会って、日々の何気ない瞬間の出来事なんて…思い返すには時間が足りなくて……


明日への希望も勿論胸にあるけれど、それでも…
まだここに居たいって、思ってしまう…


皆も同じだと思うけど、私にとってこの学園は…
皆に出逢えた…皆と過ごせた……


天元｢お前ら…んな泣くんじゃねぇよ！｣ｸｽｯ


…先生と出会う事の出来た、奇跡みたいな場所だから



天元｢おーし、皆辛気臭いのはお終いにして、外で集合写真撮るみたいだから順番に出ろー！

最後の最後に忘れ物すんじゃねーぞ｣

カナヲ｢A、行こう｣

A｢うん｣


先生、私は今日この学園を卒業します

明日からは貴方の生徒では無くなる…
もう…私達は何の関係も無くなってしまう



…だから……っ


A｢…｣ﾋﾟﾀｯ

カナヲ｢A？｣

梅｢どうしたのよ、立ち止まって｣

アオイ｢教室に何か忘れ物？｣

グラウンドに移動する為に歩いている中、私が足を止めるとどうしたのかと皆が反応する

A｢…いざってなって怖気付くの嫌だから、皆に宣言して行くね！｣ｸﾞｯ

梅｢何…っ…いきなり｣

カナヲ｢宣言って…？｣

A｢……私…！｣

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