君と描く物語１２

＃５７９ ページ29

梅｢……で？結局Aの出した結論は？｣

他人が聞けば、お説教の一つや二つ飛んで来そうな話なのに
それでも最後までちゃんと私の話を聞こうとしてくれる

私にそう問掛けた梅ちゃんだけじゃない
カナヲもアオイも、私の言葉を聞こうと待ってくれてる


A｢…私の出した結論は…｣

｢｢…｣｣

A｢無一郎くんとは、この先も一緒には…居られない

無一郎くんの求めてくれてる関係にはなれない｣

カナヲ｢…そっか……それが、Aの答えなんだね｣

A｢うん…でも、無一郎くんには今まで沢山支えてもらって来たのに…ただごめんなさいって言うだけじゃいけない気がして…

これまでに貰ってきたものを、ちゃんと返さないとって…
だけど、それをどう言葉にして伝えていいのかわからなくて｣

結局、こんな直前になってもしっくりくる言葉なんて見付からない…本当に情けなくなるくらい……

梅｢……あんた、ばっかじゃないの？｣

A｢え…っ｣

さっき私に問い掛けた時の声色とははっきりと違う、怒りの籠った梅ちゃんの言葉に肩が跳ねた

アオイ｢ちょ…梅…っ｣

梅｢だってそうじゃない！A…あんた、それ時透の事馬鹿にし過ぎよ！？

あいつがいつ見返りを求めてAの傍に居た？
あいつ自身がそう言ったの？んな事一言も言ってないでしょ！？

あいつはいつだって、ありのままの真っ直ぐなあんたを好きだって言ってくれてたんじゃないの？

それなのに小難しい事考えて…

そりゃ、Aと両想いになる事があいつにとって最高の答えだろうけど
そうはなれないって決まってしまったなら、残る道は後一つしか無いじゃない

あいつの好きなままのAの…そのままの素直な言葉で気持ちを伝えるだけよ！｣

A｢…でも、行きた在りばったりで伝えたら…今まで無一郎くんに貰ったもの仇で返す様な真似しちゃいそうで｣

カナヲ｢A…｣ｷﾞｭｯ

A｢…カナヲ…っ｣

隣に座るカナヲが、すっと私の手に自分の手を重ねて
真っ直ぐとその視線を私に向けてくれる

カナヲ｢Aの言葉は、誰かを傷付けるだけなんて事しないよ…

Aの心から発せられる言葉は、どんな時も周りの人を…その言葉を受け取った人を救ってくれる

例え、一番望む答えじゃなかったとしても…Aが時透くんの為に発する言葉は
きっと その瞬間は難しくても、時間が経って必ず時透くんの心を温めるから…｣

アオイ｢私もそう思うわ…｣

A｢…っ｣

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