君と描く物語１２

＃５６８ ページ18

有一郎くんとの約束を交わしたあの日以降、私達はそれぞれの冬休みを迎えた

今年はメンバーの半数以上がまだ受験を控えている為、恒例のクリスマス会は行われず
集まるのは新年だけとなり、次に皆に会えるのは今年最後の日の夜

一緒に新年を迎えて合格祈願をしようと約束した

A｢…ふ…ぁあ…っ｣ｸﾞｸﾞｯ

自室で机に向かいっぱなしで固まった体を伸ばしながら、少し休憩しようと窓の外を見るとすっかり陽は落ちていて

薄らと白い羽の様な物が舞っているのが見えた

A｢わぁ…雪だ…！｣

これだけ寒ければ雪も降るか…

…何だか思い出すな……一昨年のクリスマスの夜

A｢…｣ﾁﾗｯ

先生と別れてから一度も開く事の無かった棚の引き出しに手を掛ける

開けてみると先生との思い出の物が沢山詰まってて、その中にはあの日に貰ったネックレスもあった

ｼｬﾗ…ｯ

指に絡めて手に取ったそれは、窓辺まで持って行くと窓から刺す僅かな光に照らされて きらりと存在感を放って見せた

A｢…綺麗だな｣ﾎﾞｿｯ

先生…今日も学校に居るのかな……
毎年 冬休みは忙しくしてたし、今年なんて特に大変だよね

それがわかっているから、冬休み中は自力で出来る受験勉強を中心にやっている

でもやっぱり一目顔が見たいとも思ってしまう…

A｢…初詣では、会えるかな…｣

会いたいな…先生……


そして、時間はあっという間に過ぎていき…

蜜璃｢皆もう準備できたかしら？｣

A｢うん、大丈夫だよ｣

母｢それじゃあ行きましょうか｣

父｢千影、斗和と紡久呼んできてくれるか？｣

千影｢わかった｣


家族揃って家を出ていつもの神社に向かう

A｢今年も凄い人だね｣

蜜璃｢本当ね〜…あ！小芭内さん居たわ！｣

カナヲ達ももうすぐ着くって言ってたな…
梅ちゃんとアオイも今年は一緒に新年を迎えられるから嬉しい

ﾌﾞｯﾌﾞｰｯ

A｢ん…？メッセージかな…｣

無一郎先輩、いつもと同じ神社に初詣来てる?

A｢…！｣

あのバイト終わりに話して以来、久々の連絡だった

A合格祈願も兼ねて、今年も来てるよ!

そう返信を送ると、今年は無一郎くん達も将棋の試合が無いから家族で来ていると返ってきた

それと…

無一郎後で会いに行っても良いかな?

A｢無一郎くん…｣

Aもちろん!また後で!


今年の年越しも賑やかに過ごせそうだな…

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