君と描く物語１２

＃５７１ ページ21

そう言えば…私が先生と別れて以降、無一郎くんと先生が話している所を見た覚えが無い…

元々 私を挟んでしか絡みが無かった二人だし、部活の時間に三人で居た時くらいしか二人が話している所を見た事無かったから

部活中に無一郎くんが顔を出さなくなったから当たり前って言われればそうなのかもしれないけど…

A｢…｣ﾁﾗｯ

無一郎｢…｣

今の無一郎くんにとって、宇髄先生はどういう存在なんだろうか…

多分この前の感じからして、私が宇髄先生を好きで
無一郎くんとの関係に終止符を打とうとしていた事には気付いてるとは思う

そうすると、やっぱり……良い存在ではないんだろうな…

無一郎｢先輩？ぼーっとしてどうしたの？ほら、前進んだよ｣

A｢わ…っ…ごめんね｣

出来れば前の様に、憎まれ口を言い合ってても
どんな話題でも会話のあった頃の二人に戻ってくれたら嬉しいけど

宇髄先生としては、もう無一郎くんを敵視する理由も無いから普通に接してくれるかもしれないけど

私の立場でそれを言うのは、無一郎くんには酷かな…


…でも、私との距離を上手く縮めてくれた様に
きっと宇髄先生が無一郎くんとの距離も元通りに……


天元｢…｣

無一郎｢…｣ﾂﾝｯ

……あれ…っ？

各々 参拝が終わり、絵馬と御籤の有る窓口の方で集まり いざ二人が対面してみても

予想に反して二人は一向に会話をする気配も無く…

無一郎くんの態度は予想してたから分かるけど、何で先生も一言も話さないの…？
いつもなら憎まれ口の一つや二つ言うのに…！

皆は絵馬書くのに夢中でこっちの事なんて気付いてないみたいだし…

空気が…空気が重いよ……！
とにかく、この場を何とかしなきゃ…

A｢わ…私、御籤引いてこようかなー…無一郎くんは…？｣

無一郎｢先輩が行くなら僕も行こうかな｣

天元｢俺も行く｣

A｢え！？｣

天元｢何だよ…去年も一緒に引いたじゃねぇか｣

A｢そうでしたね…行きましょうか…っ｣

折角 気まずい雰囲気だから二人を離そうと思ったのに、結局三人揃って御籤を引く事になり


ｶﾞﾗﾝｯ…ｶﾞﾗﾝｯ…

A｢三十一番…｣

無一郎｢六番｣

天元｢二十八｣

それぞれ番号を係の人に伝えて交換してもらう

｢こちら、三十一番の御籤です｣

A｢ありがとうございます｣ｶｻｯ

えっと…今年の御籤は……

A｢わ…大吉…！｣

一番大きく書かれていたその文字に喜び、下の項目にも目を移すと…

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