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無一郎side
A「…」ピタ…ッ
無一郎「…?先輩、どうかしたの?」
突然振り返って足を止めた先輩
A「なんか今…声………そんな訳無いか…ううん、何でもない」
無一郎「…そ?じゃあ行こう」スッ
僕は先輩の手を引いて歩き出した
いつしか人の流れが変わって、そろそろ花火が打ち上がる時間なんだと気付く
無一郎「足大丈夫?あっちでちょっと休もうか」
A「うん」
手を引いたまま、少し道を外れた所のベンチに腰掛ける
無一郎「今年も一緒に祭りに来れてよかった…来年には先輩ここには居ないから」
A「まだ第一志望に受かったらの話だよ」
先輩は僕の言ったそれを、言葉のまま受け取ったみたいだけど
僕にとっては、今の言葉には物理的な事もあるけれど…もう一つ
あの人がこのまま引き下がるとは思えないから
きっといつの日か、先輩の元に戻ってくる気がしてならないんだ…
こうやって一緒に過ごす事ができるタイムリミットは、そう遠くはない
それは最初から分かってて
でもできるだけ、長く一緒に居たくて…
その目に映りたくて…だから……
無一郎「…!」
その時、先輩越しに人混みの中をかき分けて誰かを探す宇髄先生が見えた
……必死な顔
誰を探しているかなんて分かりきっている
ごめん先輩__
心の中でそう零しながら
無一郎「ねぇ、もう一個だけ…僕のわがままに付き合ってくれる?
後一つだけ、先輩との思い出を作らせて…」
A「え…」
そう言って、僕は先輩の返事も聞かずに…
A「…!」
先輩の柔らかな唇に、自分の物を重ねた
ふっと離れると、驚いて目を丸くする先輩
その向こう側には……同じ顔をしてこちらを見る、あの人の姿も見えた
無一郎「……はは、突き飛ばされる覚悟だったのに……」
驚き過ぎて言葉を失う先輩に、出来るだけ明るく接しようと思うのに
どうみたって喜んでいるようには見えない先輩の様子に乾いた声が隠せない
A「無一郎…くん……っ…突き飛ばすだなんて、そんな事したりしないよ…」
無一郎「うん…」
うん…知ってる…知ってたよ、先輩は優しいから
そんな事…したりしない……
でもいつもなら真っ直ぐ目を見てくれる先輩も、流石の事に戸惑ったのか俯いてそれ以上何も言わない
拒まれなかったのは、受け入れて貰えたからじゃないって分かってる
だけど今だけは少しだけ、このままでいさせて……
無一郎「急にごめんね。行こうか」ニコッ
A「…うん」
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momoko19960430(プロフ) - レモネードさん» 電話はお察しの通り無一郎くんでしたね!二年連続で、宇髄先生と過ごしていた学園祭も、今年は初めて先生以外と過ごす学園祭になるのでしょうか…次章が、最後の学園祭の後編となります! (2021年9月7日 23時) (レス) id: 97219a3715 (このIDを非表示/違反報告)
レモネード - 童磨もまだ諦めていなかったんだね。しかし、童磨もめげないねぇ……。電話の相手は無一郎くんかな?夢主ちゃんは劇を見に行くのかなぁ。最後の文化祭、何かが起こるのか……。 (2021年9月7日 15時) (レス) id: 029fc8293f (このIDを非表示/違反報告)
momoko19960430(プロフ) - レモネードさん» 学園祭初日が始まりました!無一郎くんとの合流の前に、まさかの童磨登場…何やら口説かれている(?)ようですが…大丈夫でしょうか(^^; 今回の学園祭も何やらアクションが起きるのでしょうか… (2021年9月6日 23時) (レス) id: 97219a3715 (このIDを非表示/違反報告)
レモネード - 夏祭りでのキスをしている所をまさか見られていたとは……。さすがに宇髄先生も気が気じゃないよね……。残りわずかな高校生活、文化祭ではコスプレ喫茶をするみたいだけど、まさか今年は無一郎くんと回るとはねぇ…。 (2021年9月6日 1時) (レス) id: 029fc8293f (このIDを非表示/違反報告)
momoko19960430(プロフ) - レモネードさん» 無一郎くんの止まらないアプローチ。けど、心の中は複雑な様ですね…。そして、無一郎くんの思惑通りキスを目撃してしまった宇髄先生…心の中は穏やかじゃないでしょうが…折角 また夢主を追いかけようとしたのに、途端にこれでは…この先どうなるんでしょうか (2021年9月4日 23時) (レス) id: 97219a3715 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:P | 作成日時:2021年8月19日 9時