君と描く物語１０

＃４９８ ページ48

私は期待していた…先生と、まだやり直せるチャンスがあるんじゃないかって……

確かに、別れてから私が避け続けてたせいで 会話もままならなくて
部活にだって顔を出してはいるけど、逃げる様に野外の作業に切り替えた…

先生も、私のその態度のせいか一度も顔を出して来ない


まだ先生を好きだと自覚する前から、先生と沢山時間を過ごしたあのベンチだって
正直言うと、座ればその時の光景が頭に浮かぶ時がある

その度に、何度あの頃に戻れたら…と願っただろうか

でも無理だって…諦めなきゃいけないって
そう自分に言い聞かせた果てに、昨日の出来事


もう二度と感じる事の出来ないと思ってた温もりが目の前にあって
あんなに切なそうに私を求めてくれる声が聞こえて…


あんなの…誰だって、手を伸ばしたくなっちゃうよ…

先生…私にもう一度チャンスがあるのなら、ちゃんと活かしてみせるから…っ

だから お願い…どうか答えて欲しい


嫌いになったから別れたんじゃない
だから避けられるのが辛かったんだって…


そしたら、私は今度こそ……っ



だけど……

天元｢どういう意味…も、別に他意は無えよ…｣

A｢…え……｣

少しの間の後、ゆっくりと開かれた先生の口


天元｢あー…ほら、俺達 別れたって言っても Aは俺の受け持ちの生徒の一人だろ？

やっぱり避けられると担任業もしにくいっつーか…
だから、出来れば上手くやっていきたくて

…それ以上でも以下でもねぇよ｣


期待の熱が、一気に消し去られた…

こめかみの辺りを、どーんっと硬い何かで殴られた様な衝撃と
それに反して、高鳴ってた鼓動が静まり返る


勘違いしてた…

何を思い上がっていたんだろう……
戻れるかも…なんて、そんな訳ないのに

A｢……ださ…ぃ…｣

天元｢…？今何て…｢そんな理由なら、もう…優しくしないでください…！(A ﾊﾞｻｯ！


勘違いしちゃうから…


もう好きじゃないなら優しくしないで…っ


天元｢………悪い…｣ｸﾞｯ

私が勢いで投げ返したパーカーを手に、先生は部屋を出て行った…


私は突き付けられた現実に泣き崩れる事しか出来なかった


抱き締めたりしないでよ…
助けに来たりしないで…ずるいよ、そんなの…っ



悔しいのか、悲しいのか…訳の分からない感情が涙と共に溢れて止まらない


そんな時……


ﾌﾞｰｯﾌﾞｰｯ…ﾌﾞｰｯ

枕の横に置かれてた私の携帯…知らせたのはある人からの着信で…

A｢…もしもし…｣ｸﾞｽｯ

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