君と描く物語１０

＃４８５ ページ35

皆の元へ向かう為に歩き出してすぐ…

A｢…あれ？梅ちゃん｣

壁にもたれかかって私を待っていた梅ちゃんの姿が目に入った

梅｢ごめん、気付いて止めに入ろうとしたけど先越されたわ｣

あ…今の見て……

A｢大丈夫…相手の人も引いてったし、何もされてないから。助けようとしてくれてありがとう

カナヲ達待ってるよね…行こうか｣

梅｢…うん｣

私の戻りが遅いから心配して探しに来てくれたんだろう

私は梅ちゃんの手を引いて、また皆の元へと足を進めた


梅｢ねぇ、Aの去り際に 先生何か言いかけてたけど…話聞かなくてよかったの？｣

A｢…いいの｣

梅ちゃんの問いに、目も合わせずに答えた

…だって今、先生と何を話せばいいって言うの
どんな顔して…

私の事をもう何とも思ってない先生の目を見て…？

私の気持ちは……あの頃のまま止まってるのに…


そんなの、辛過ぎる…っ

早く…早く忘れなきゃ……先生への気持ちも、楽しかった日々も

もう戻れないんだから…

梅｢…｣



A｢皆、ごめんね。お待たせ！｣

カナヲ｢A！梅ちゃん！大丈夫？｣

A｢皆の事すぐ見つけられなくて…でも梅ちゃんが迎えに来てくれたから大丈夫だったよ｣

アオイ｢そっか、良かった｣

炭治郎｢向こうでイルカと写真が撮れる所があるみたいだから行こうかって話をしてたんだけどいいかな？｣

A｢わー！いいね、行こう！｣

その後も皆と水族館の中を回りながら、出来るだけ何かに意識を向け続けた

先生の事を考える隙が出来ないように…


実弥｢全員揃ったなァ…順番に各班バスに乗りこんだら次の散策場所に移動するぞォ｣

次の場所に向かう為に再度バスに乗り込み席に着く

私の席の隣は善逸くんで…

善逸｢そう言えばAちゃん…禰豆子ちゃんから、俺の進路の話で相談乗ってくれたんだよね？ありがとうね｣

A｢…！ううん…私は話を聞いてあげるくらいしか出来なかったからお礼なんて…

…あの後、禰豆子ちゃんと話し合い出来た？｣

善逸｢うん…と言うか、あれ禰豆子ちゃんの勘違いなんだ

俺は別に県外の学校とか全く考えてなかったのに
あの学校、兄貴が通ってんだけど勧誘が凄くてさ

端から行く気ねぇっつってんのに…とりあえずパンフレット送ってやったから、しっかり目 通してから決めろって煩くて

それがたまたま禰豆子ちゃんの目に入って、それで…｣

A｢そうだったんだ…｣

禰豆子ちゃん、ほっとしただろうな…

＃４８６→←＃４８４

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す