君と描く物語１０

＃４７０ ページ20

梅｢じゃあ、今度の日曜は修旅の買い物って事で！｣

A｢うん｣

カナヲ｢駅前に十一時だよね？｣

アオイ｢そう。また当日の朝、待ち合わせ場所着いたらグループメッセージに連絡入れるわ…じゃあ、また｣

先日行われた修学旅行のグループ分けも、予定通りに仲のいいメンバー全員で組む事ができ
当日に向けての買い物をする日も決めて教室を出る


ｶﾞﾗｧ…

A｢お疲れ様です｣

｢甘露寺先輩、お疲れ様です！｣｢お疲れ様です｣

皆と別れて一人 美術室に到着すると、まだ先生は居ないようで
部の後輩が数人 記帳表の近くに居るだけだった

その部員達も名前の記入と作業準備が済むと、それぞれの作業場所へ移動していって
あっという間に室内は私一人になってしまった

私も、完成間近の自分の作品を机に広げて 作業をしながら先生を待つ


ﾁｯ…ﾁｯ…ﾁｯ…ﾁｯ……

A｢…｣ﾁﾗｯ

先生、遅いな…
いつもなら私が着いて数分経つ頃に姿を見せるのに


静かな空間に、私の作業音と壁掛け時計の秒針の音だけが響くだけ

閉まったままの扉は開く気配もなくて…


A｢作品も完成しちゃった…｣

先生の気配を伺うばかりでは…と思って手を動かしてると、気が付けば作品は完成してしまい
とうとう手持ち無沙汰になってしまった


携帯を開いて見ても、別に先生から遅くなると言うメッセージも無い

普段ならここまで気にならないけど…進路希望調査票の事もあって何だか落ち着かない

早く顔を見て、普段通りの他愛も無い話をして安心したい…

ずっと抱えてるこのもやもやとした嫌な感じを、単なる考えすぎだと…気の所為だったと思いたいのに


A｢…｣ｸﾞｯ

だけど……


ｶﾞﾗｧ

A｢…！宇髄先……せ…い…｣


やっと開いた扉のそこに立っていた宇髄先生は……

天元｢…おう、悪ぃ…遅くなっちまった｣

A｢…大丈夫…です。お疲れ様です…｣

いつも通りの笑顔…いつも通りの声色……なのに…


A｢…っ｣


ﾄﾞｸﾝ…ｯ……ﾄﾞｸﾝ…ｯ

頭に響く程 大きく全身を圧迫するかの様な心音



何でその目を見た瞬間…息が詰まるくらいの恐怖を感じたのか



それはきっと私の中の本能が


"自業自得"……"もう悪夢を避けては通れない"……と、叫んで居たからなのかもしれない



天元｢A…話があるんだけど、いいか？｣

A｢……はい…っ｣

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