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-古都瀬高校 文芸部部室・side 晴留-
窓際で集中して本を読んでいるのは文芸部の天才作家、2年生のAA。
【新人文藝賞・A A】と書かれた賞状が飾られている。
本棚にはたくさんの本。
中心のテーブルには2年生のあたし、向井晴瑠と1年生の大宮有薫、そして3年生の部長、岡田絢子。
2台あるPCのうち、1台を部長が使っている。
晴瑠「ねぇねぇ、告白するのとされるのだったらどっちが良い？」
有薫「え･･････されたいです」
晴瑠「じゃあさ、サプライズ的に言われるのと雰囲気の出来た上で言われるんだったらどっち？」
有薫「雰囲気ができた上でサプライズ的に言われたいです」
晴瑠「わがままだなお前」
絢子「ちょっと晴瑠」
晴瑠「取材ですー。次書くのベタ甘の恋愛小説だから女心を学んでんの。れっきとした部活動ですぅ」
絢子「ならいいけど」
晴瑠「サプライズねぇ。あじゃあこういうのは？英語の授業中に指された男子生徒、キョウヘイくん。有薫の好きな人って設定ね。『この英文を訳しなさいMr. Kyohei』キョウヘイくんは教科書を持ってスッと立ち上がってこう言った。『僕は、有薫が好きです。僕と付き合って下さい』」
そう言うと、顔を赤くして俯く有薫。
晴瑠「お？アリ？」
絢子「そんな恥ずかしいの無理だよ〜」
晴瑠「ねーA。今の展開どうー？」
Aに声をかけるが聞こえておらず、集中して本を読んでいる。
晴瑠「？？おーい、A」
Aに近づいていくが、全く気づかない
晴瑠「･･････何読んでんの？」
A「！！」
Aは驚き、とっさに本を隠した
A「な、何？」
晴瑠「何読んでるの？」
A「だ、太宰」
晴瑠「太宰はもう全部読んだんじゃないの？」
A「･･････2周目」
晴瑠「ねぇ！うちら花のJKだよ？部屋にこもって太宰治2周してる場合じゃなくない？」
A「･･････」
絢子「晴瑠。わかったからAの集中邪魔しちゃダメ」
部長にそう言われ、私はため息をついて席に戻っていく。
有薫「それで、キョウヘイくんはその後どうするんですか？」
晴瑠「は？先生に注意されて終わりだよ」
有薫「そんなぁ」
晴瑠「ハッピーエンドなんてないの」
Aが読んでいた本の表紙には、『世界の中心で愛を叫ぶ』と書かれていた。
A「･･････」
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作者名：Cornet | 作成日時：2021年11月6日 1時
