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ガチャ
剛典「おー、はや。A一番乗りじゃん」
「うん 私が呼び出したからね。おはよ」
剛典が部屋に入ってきてAはイヤホンを外す。
剛典「おはよう。隣いい？」
「どうぞ。健さんと一緒じゃなかったの？」
剛典「トイレ行ってるから もう来るよ」
「そっか」
テーブルの上に背負っていたリュクを豪快に置いて、Aの隣に座ると 何か聞きたそうな空気を醸し出す剛典。
「剛典…」
剛典「なに？」
「私を信じて。」
目を見てはっきりと。
メンバーの中でただ一人、Aの本心を知っている彼にだけ伝えられる事。
「抑えきれない想いがある中でも、いつも私は三代目の事ちゃんと考えているから」
剛典「…わかったよ」
Aに突然呼び出された時に、いつかメンバーに話すと言われていた彼女の覚悟を、とうとう聞く日が来たのだと なんとなく気付いていた剛典。
どうやらその内容は生半可なものではないらしい。必死に隠しているつもりなのだろうけど Aの声が震えている。
そんなに伝えるのが怖いのか、だから俺にわざわざ“信じて”と言ってきたのか。
そんなにAが怯えるなら、俺が出来ることはただ一つ。
剛典「何があっても信じてやるから」
Aのやる事なら無条件で受け止めてやる。
剛典にそう思わせるくらいの誠実さが彼女にはある。
剛典「お前も仲間としての俺を信用しろ」
「うん、必ず信じてる」
剛典「…俺へのお返しは、その信頼でいいから」
「え？」
剛典「前にお前が言ってた俺に与えられたものってやつ。
そのお返しがあるなら、Aのその 俺に対する揺るぎない信頼がいい」
「ほ、本当にそれでいいの？」
剛典「当たり前だろ、仲間なんだから。信頼以上に最高なもんがあるのかよ」
「っ、ありがとう…」
泣きそうな顔でAがありがとうと呟く。
Aと亜嵐の間に何があったかまだ知らない剛典には、その言葉はもちろん他意なき本心であったが、前向きと後ろ向きが交差して不安定なAにとってそれは、今何より欲しかった言葉なのかもしれない。
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作者名：とまと野郎
| 作成日時：2015年1月29日 16時
