君をさがしてた。episode4 …2 (ページ42)

今日:37 hit、昨日:7 hit、合計:2,242,219 hit

番外編③-4 ページ42

.

直己「諦められるのか…？」

直人(それは…)

直己の質問に、ついに必死に保っていた健二郎の顔が崩れて咄嗟に右手で両目を隠すように覆い俯く。

直人(今すぐには無理だよな…でも、)

健二郎「諦めるしかないっしょ、…っ」

直己「…？」

健二郎「…んとうは、あ、諦めたくないっすよ

でも、相手がAと臣じゃ…、しょうがないってなるってゆうか、

2人とも、大切やから…
Aが他の男と並んで幸せそうにしてるのなんて考えたくもないけど、その相手がもし臣なら。

時間はかかってもいつか、俺がしゃんと納得できる唯一の男なんです」

「「「……」」」

自分と同じようにAの事を真っ先に考えられるし、いつも側でAを守ってあげられる。

一度拗れに拗れた2人だからこそ、その絆はそう簡単に切れることはないだろう。

もしTRIBEメンバーの中に Aに対する事で広臣を悪く言う奴がいたら、健二郎は自分が真っ先に声を上げる自信がある。

健二郎「臣はホンマに、ええ男なんですよ」

世界で一番大好きな女の子の心を奪っていったのに、それでも憎みきれないのは。
健二郎自身が人間として広臣に惚れてるから。

健二郎「尊敬できる仲間やから」

どんなに苦しくて、笑いあう2人に涙が溢れそうになっても。
きっといつかその光景を愛おしく思える日が来るだろう。

健二郎「そう考えたらきっと、俺も前に進める気がするんです」

いつかAではない他の誰かを好きになる日が来るかもしれない。
だけど今はまだ、この胸にあるのは切なさばかりで。やり切れない苦しさに押し潰されそうになる。

それでもこの痛みと向き合って行こう、折角手に入れた世界で一つの大切な気持ちなのだから。

それに、本当に幸せな事は、
苦しくても自分は1人じゃないということ。

直人「っ、よし！…今日は飲もうッ！」

視線を上げてみればそこには一緒に泣いてくれる仲間がいる。

瞳を真っ赤にした直人が勢いよく立ち上がり、リビングの戸棚からありえない量のウイスキーや日本酒を持ってきて、直己は苦笑いしながらもそれを止めることはなかった。

.