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健二郎「……」
視界に映る色んなものが理解できなくなって、真っ白になる。でもそれは一瞬の出来事で。
健二郎(あー、そっちか)
ホワイトアウトからあけて 不思議と一番最初に出てきたのはそんなもの。
健二郎(やっぱりなー。あーやば、泣きそうやわ。くっそーなんやねん、今かい。あわよくばも一回告白しようとか思ってたやんか、あぶなー。
つーか なんか言ってやらんとあかんなぁ)
無言じゃAが不安がる、そうわかっていても言葉が出てこない。
健二郎「…いきなりやな」
「ずっと言わなきゃいけないと思ってました」
健二郎「っ、はー。そうか」
視線を少し上に上げ息を吐く。
そんな健二郎に畳み掛けるようにAは言葉を続けた。
「煮え切らない断り方をした私の側で、ずっと私の事気を使いながら…好きでいてくれましたね」
健二郎「……」
「何をしても変わらず優しくて、健さんの気持ちを知っていながら私は その優しさに甘えていました」
健二郎「これからも甘えたらええねん。別に俺」
「いえ」
健二郎の言わんとしたことが安易に予想できたAはきっぱりと首を横に振る。
「貴方の気持ちには誠実にいたいと、前にも言いました」
健二郎「……」
「好きになれないのに やはり中途半端な気持ちで健さんの想いに応えることは出来ません」
こんな冷たい言葉…、恋愛経験豊富な人ならもっとオブラートに包むことを知っているのかもしれない。
だけどAは、そんな器用なことは出来なくて。
自分がしっかりと結末を与えることで健二郎を解放できると信じて疑わないのだ。
「だからもう、私の事は諦めてください」
振られる方も辛いけど、振る方も辛い。剛典は確かにそう言った。
ならこの言葉は一体、健二郎とA、どちらの胸に深く突き刺さるのだろう…
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作者名：とまと野郎
| 作成日時：2015年1月29日 16時
