��-6 ページ25
.
Aは直己に言われペタペタとそちらに歩いて行くと、そのままオーディオの隣に体育座りをして ジャージのポッケから出した靴下を履いてからシューズの靴紐を緩め始めた。
健二郎「いつの間にシューズ変えたん？」
「前のやつ底擦り切れちゃって、急遽家にあったやつ持ってきたんです」
健二郎「ぶっかぶかやん」
「デザインが良いって亜嵐が昔買ってきたんですけど亜嵐にしては小さすぎて…でも私にもちょっと大きいですね」
健二郎「新しいの買いや笑」
「はい、明日買いに行こうかな」
流石にいつまでもサイズの合ってないものを使ってるわけにいかない。ファイナルのリハまでには慣らしておきたいし。
「…よし。」
靴紐を少しきつめに縛って立ち上がる。
行き着く先はELLYの隣。
「おまたせ」
ELLY「…大まかには出来たんだけど、一回見てもらえる？」
「うん」
曲に合わせて踊るELLYを斜め前から真剣に見るA。ELLYは基本鏡に映る自分の方しか見ておらず、Aと目を合わせようとしない。
健二郎「あからさまやなぁ」
直人「怒鳴りつけちゃったから気まずいんだろうね」
一曲踊りきるまで一度もアイコンタクトを取ることはなく。気まずい空気が2人を包んでいて 他のパフォーマーは一歩離れたところから見守っていた。
ELLY「…どう？」
「ーー、」
ELLY「A？」
感想を求めても何も言わないAに、ELLYはそこで初めて視線を送った。
Aは腕を組む格好から右手を口元に当ててボーッとELLYの腰あたりを焦点なく眺めていたが、ハッと我に返ったように
「ELLYくん」
彼の名を呼び目を合わせる。そして
「ありがとう」
ELLY「……」
「やっぱりELLYくんは凄い。分かってくれたんだね」
ELLY「聞くたびに伝わって来るんだ。で、頭で考えるより先に身体が動くんだよ」
「うん、嬉しい」
ELLY「メロディー リズム リリック、これにボーカルの声を想像して俺なりに動きを付けた。A、少しでも君の魂に触れられたかな」
「私だけじゃない、きっと皆のそれに響くと思う」
頷きながら言われた言葉に、ELLYの口がニヤリと弧を描いた。
そして一歩Aに近付くと右手のひらを顔の横あたりまで上げてきて。
「、」
パチンッ
力強くハイタッチを交わしたのだ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2030人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「芸能人」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：とまと野郎
| 作成日時：2015年1月29日 16時
