君をさがしてた。episode4 …2 (ページ21)

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(言ってくれるなよ、それを)

本当はどんな事したって全力でAを引き止めたい、もう二度と戻ってこない可能性があるなら尚更。それでも必死に抑えていたものを彼女自身に見透かされて。

込み上げてきそうになる熱いものを堪え、何もないように装う。

俺もAもわかってねーな、本当。

剛典「お前俺のことなめてんの。いきなり約束破りやがって」

「…え？」

剛典「言ったじゃん、俺のこと信頼しろって。そしたらお前うんって頷いたよね」

「あ。」

剛典「“あ。”っじゃねーよ、間抜け。本当腹立つアホ面だなあ！」

「そ、そんな言うこと…！」

剛典「俺はAが俺のこと信頼してくれるって信じてたから、午前中の会議でも直人さんにあー言ったのに。ほんとくそ。」

「ご、ごめぇん…」

剛典「やだね、俺の機嫌損ねたんだからそんな気の抜けた謝罪じゃ済まされないよ」

「…何すればいいの？」

剛典「そんくらい自分で考えろよ」

ムスッとした剛典にそう言われ、焦ってキョロキョロしだしたAがパッと手に取り

「つまらないものですが…」

と差し出したのは、

楽屋に置いてあった紅葉饅頭。

剛典「…バカにしてんの？」

ピキッと額に青筋が浮かぶ。
Aは目を見開いてフルフルと首を横に振った。

剛典「…はー、こうゆう時は嘘でもさっきみたいなこと言っとけばいいんだよ」

「さっきのって？」

剛典「俺らのこと、その…あれ」

「？」

恥ずかしくて中々台詞をなぞれない剛典。

剛典「俺ら7人のことアレって言ったやつ」

嬉しかった、あれを言われた時。
状況が違えばきっと破顔して思わずAの頭を撫で回し抱きついて、「俺もだ」と彼女に返しただろう。
他のメンバーだってそこは同じの筈だ。

「愛してる。？」

そんなくさいセリフ、俺なら中々言えないけど。
何故だろう、Aが言うと可愛らしくてそんな中にも心を突き動かす強さがある。

剛典「俺は多分、その言葉だけで充分なんだと思う」

「なんで」

剛典「理由が必要？」

「うん。今の私には何か一つでも不安を和らげる要素が欲しい」

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