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私を見て、加藤さんは布団をめくって「はい、おいで」って言った。
めっちゃ楽しそうに笑ってるけど。
「いやいや、おいでじゃないでしょうよ」
「昨日も一緒に寝たじゃん」
「昨日？」
「ああ……夢だったことにしてんのか」
加藤さんは大きなあくびをして、ため息をついた。
「自分ちで寝てください！」
「もう眠いから無理」
「言いつけますよ！」
「……誰によ」
「……加藤さんが言いつけられたら困る人に」
私最低だな、って思いながら言った。
なのに加藤さんは、引き続きごろごろしてる。
いつもよりとろんとして甘い声に聞こえるのは、眠いから？
「ああ……Aの親御さんに言いつけられるのは困るかな……印象悪くなっちゃうよね」
「もう！いい加減にして！」
そんなつもりはなかったんだけど、思ったより大きい声が出て、しかも涙声になってしまった。
加藤さんはふふ、って息だけで笑ってる。
なんで笑うの！
「なんで笑うの」
「……いやもう……可愛くて。ふふ」
「わけわかんない！」
「何がわかんない？さっきも言ったでしょ、可愛くて仕方ないって」
「……」
加藤さんがそういうことをまたしれっと言うので、フリーズ。
「Aに対して俺がもっている感情をもう最近はずっと隠してないんだけど」
「…………」
ずるい。そんなのずるい！
「……」
「……何考えてる？」
「ずるいなぁってそれしか」
「ずるい？」
「ずるいです、なんかいろいろすっ飛ばして私を混乱させているだけですよね、加藤さん。なんのためにこんなことするんですか？」
「……Aは俺に何を言わせたいの」
「…………」
「というか、なんて言えばここで寝かせてくれんの？」
そう言いながらもう加藤さんは目を閉じてしまう。だめじゃん！
「早くおいで、とりあえず寝な」
加藤さんにそう言われて、結局布団に入った私の罪は大きいと思う。
まあるくて優しくて可愛いハッピーエンドが好きな私はどこに行った？
これじゃ加藤さんや幼なじみさん、加藤さんの同期のみなさんの世界をローラーで潰す理性の働かない極悪人じゃん。自己愛を拗らせた利己的なやつなんだ私は。
だって、今お相手がいるはずの加藤さんに抱き寄せられながら同じベッドで眠りにつこうとしているんだから。
さらに悪いことに、幸せを感じてしまっているんだから。
最低だ。
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ぺんぎん(プロフ) - 素敵なお話ありがとうございます。お話の中の一人一人が丁寧に描かれていて、ほんとうにほんとうに素敵です。これからも応援しています。 (2020年3月4日 1時) (
レス) id: f15aa4c564 (このIDを非表示/違反報告)
すもも - 完結おめでとうございます！いつもこっそり拝見しておりました(笑)じぇにさんの作品はどれもひらがなと漢字の使い分けが絶妙で、ニュアンスがとっても丁寧に伝わってくるところが大好きです。新たなじぇにさんの作品に出会える事を願いつつしばらくこの作品に浸ります。 (2020年1月28日 23時) (レス) id: 7bc6073c03 (このIDを非表示/違反報告)
もか - いつも楽しく拝読しております！主人公ちゃんの不安や怖がりな部分と、それでも弱いだけだったり気持ちが揺らいでるわけではない芯の強い部分がようやく報われたような気がして、このまま幸せになってほしいと感じました、、これからも楽しみにしています！ (2019年12月28日 0時) (レス) id: 729ed0c340 (このIDを非表示/違反報告)
あやぽにょ - やっとですね（；＿；）よかった、、、！ (2019年12月18日 1時) (レス) id: f2bcd42dc1 (このIDを非表示/違反報告)
yume.(プロフ) - 初めまして、いつも楽しく読ませて頂いてます！増田くんのストーリーから読んでいて、この物語は主人公ちゃんの名前を若菜にして読んでるのですが、加藤さんの幼馴染の名前を自分にしたくて名前の設定を増やして貰えませんでしょうか、、、？ (2019年12月15日 19時) (レス) id: 28edb9fce5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：◯じぇにー◯
| 作成日時：2019年11月5日 21時
