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奪い取るように私から体温計をとって、加藤さんはうん、って頷いた。
「……なので、もう大丈夫です。ご迷惑おかけしました」
「……うん」
「……明日は、出勤します」
「はい」
「……あの、何のおかまいもできず申し訳ありません」
伝わるかな？
帰れってことだよ？
でも加藤さんはにこにこと言った。
「あ！大丈夫！おかまいされた！」
「えっ」
「Aんちの本棚、さっきAが寝てる間にちょっと見てた」
「ええ！プライバシー！」
「は？お前だって俺んちの本棚見たじゃん？積ん読を持ち主より先に読んだじゃん！」
「……そうですけど、どうぞって言われたから見たんだもん！私どうぞって言ってないもん」
加藤さんは可笑しそうに笑って、私の髪をするんと撫でながら呟くみたいに言った。
「……元気になっちゃった」
「おかげさまで元気です、ではまた明日、おやすみなさい」
「俺もここで寝よっかな」
「なんで？」
デジャヴか？
「その前にAになんか食べさせて薬飲ませないと。はい起きて。シャワーしてきたら？」
加藤さんは私の質問に答えずにそう言って、キッチンに行っちゃった。
深く考えないようにしてシャワーを浴びて戻ったら、ダイニングにあたたかそうなスープが湯気を立てていた。
加藤さんが私を見て呆れた声を出す。
「A髪ビショビショじゃん……治す気ある？」
「もう治ったし」
「は？」
いちばん気に入ってる可愛いルームウェアを着たけど、しょせんルームウェアだしすっぴんだし、見られたくなかったなって遅ればせながら思う私を誰か胸ぐら掴んでグラグラしてほしい。
加藤さんは、相手のいる方なのだ。
なんだか距離感がわかんなくなっちゃって、後輩の私を妹扱いしてかまってくださっているだけで、職場の先輩なのだ。
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ぺんぎん(プロフ) - 素敵なお話ありがとうございます。お話の中の一人一人が丁寧に描かれていて、ほんとうにほんとうに素敵です。これからも応援しています。 (2020年3月4日 1時) (
レス) id: f15aa4c564 (このIDを非表示/違反報告)
すもも - 完結おめでとうございます！いつもこっそり拝見しておりました(笑)じぇにさんの作品はどれもひらがなと漢字の使い分けが絶妙で、ニュアンスがとっても丁寧に伝わってくるところが大好きです。新たなじぇにさんの作品に出会える事を願いつつしばらくこの作品に浸ります。 (2020年1月28日 23時) (レス) id: 7bc6073c03 (このIDを非表示/違反報告)
もか - いつも楽しく拝読しております！主人公ちゃんの不安や怖がりな部分と、それでも弱いだけだったり気持ちが揺らいでるわけではない芯の強い部分がようやく報われたような気がして、このまま幸せになってほしいと感じました、、これからも楽しみにしています！ (2019年12月28日 0時) (レス) id: 729ed0c340 (このIDを非表示/違反報告)
あやぽにょ - やっとですね（；＿；）よかった、、、！ (2019年12月18日 1時) (レス) id: f2bcd42dc1 (このIDを非表示/違反報告)
yume.(プロフ) - 初めまして、いつも楽しく読ませて頂いてます！増田くんのストーリーから読んでいて、この物語は主人公ちゃんの名前を若菜にして読んでるのですが、加藤さんの幼馴染の名前を自分にしたくて名前の設定を増やして貰えませんでしょうか、、、？ (2019年12月15日 19時) (レス) id: 28edb9fce5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：◯じぇにー◯
| 作成日時：2019年11月5日 21時
