都合のいい夢 ページ5
目が合った加藤さんは、切なそうな顔して私を見てる。
指先が伸びてきて、おでこを撫でた。
生え際のとこをしゃらしゃら撫でてる。
さすがに何してるんだろう。
「……何してるんですか」
「……何してんだろ」
「お見送りします？」
「……帰れってひどくない？」
「だってうつっちゃいますよ」
「うつったら、Aが看病してよ」
「……そこは彼女を呼んだらいいでしょ……」
だめだ、冗談ぽく言えたと思ったのに涙が出そうになっちゃった。
お布団を引き上げて、顔を隠した。
また髪を撫でる気配がする。
布団の中から「鍵、あとで閉めますのでお気遣いなく」って言ってやった。
わかるか？
帰れってことだよ！
「俺もここで寝よっかな」
加藤さんの声に、ばって起き上がる。
意味わかんないの極み！
何を言ってる？？？？
目が合った加藤さんは、だめ？って顔してるけど意味わかんない。
「なんで？」
思わずタメ口。
「……心配だから」
「……ええと、お気持ち大変ありがたいのですが、正直困惑しています」
「……俺、Aとの距離感わかんなくなってる？世話焼きすぎ？」
「……加藤さん、本当に私のこと妹と思ってくれてるんですね」
「……そもそも妹とは？」
「私三姉妹の末っ子なんですけど、そこまで姉たちに世話かけてない気がしますが」
「……うん」
「私をずいぶんと……えーと、甘やかしてくださるなと思ってます」
加藤さんは目線を外して、俯いてぼそっと言った。
「……好かれたいもん」
「……それは、兄として？」
「恋愛感情が含まれるかどうかを聞いてる？」
「…………」
「聞いてどうする？」
「……どうもしません。兄として可愛がってくださる職場の先輩を嫌う理由がありませんので、その旨お伝えし、感謝申し上げてお帰りいただくだけです」
「……逆なら？」
なんで悲しそうに聞くんだろう。
悲しそうに見えるだけかな。
私の願望がそう見せているだけかな。
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ぺんぎん(プロフ) - 素敵なお話ありがとうございます。お話の中の一人一人が丁寧に描かれていて、ほんとうにほんとうに素敵です。これからも応援しています。 (2020年3月4日 1時) (
レス) id: f15aa4c564 (このIDを非表示/違反報告)
すもも - 完結おめでとうございます！いつもこっそり拝見しておりました(笑)じぇにさんの作品はどれもひらがなと漢字の使い分けが絶妙で、ニュアンスがとっても丁寧に伝わってくるところが大好きです。新たなじぇにさんの作品に出会える事を願いつつしばらくこの作品に浸ります。 (2020年1月28日 23時) (レス) id: 7bc6073c03 (このIDを非表示/違反報告)
もか - いつも楽しく拝読しております！主人公ちゃんの不安や怖がりな部分と、それでも弱いだけだったり気持ちが揺らいでるわけではない芯の強い部分がようやく報われたような気がして、このまま幸せになってほしいと感じました、、これからも楽しみにしています！ (2019年12月28日 0時) (レス) id: 729ed0c340 (このIDを非表示/違反報告)
あやぽにょ - やっとですね（；＿；）よかった、、、！ (2019年12月18日 1時) (レス) id: f2bcd42dc1 (このIDを非表示/違反報告)
yume.(プロフ) - 初めまして、いつも楽しく読ませて頂いてます！増田くんのストーリーから読んでいて、この物語は主人公ちゃんの名前を若菜にして読んでるのですが、加藤さんの幼馴染の名前を自分にしたくて名前の設定を増やして貰えませんでしょうか、、、？ (2019年12月15日 19時) (レス) id: 28edb9fce5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：◯じぇにー◯
| 作成日時：2019年11月5日 21時
