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加藤さんは笑って、肩にタオルかけたままの私に近づいて、濡れた髪ごとぎゅうってした。


「……何を怖がってんの?」
「…………」
「それ俺が守れない?」


わかってないな。

「私が守りたいのは、加藤さんのことを好ましく想っている女子たちの心なんですけど、加藤さん守ります?」
「……なんでそれをAが守りたいの?」
「誰かのお花畑を荒らさない、が私の信条です」



加藤さんは私からちょっと離れて、濡れた髪に指を絡ませた。


「……妬み嫉みが怖いのかと思ってた」
「妬み嫉みの感情を、誰かにもたせるような生き方が怖いんです」
「……じゃあやめる?」

加藤さんが目を伏せてそう言う。


「やめる、とはどれをでしょうか」
「……ふふ、そこはすぐ否定するとこだろうが」
「だって主語がなかったもん、そこをハッキリさせとかないとすれ違いますよ」
「いやもうすれ違ってるでしょ」
「え!いつ!何が!」
「めんどくせえな!」


加藤さんがあはは、って笑う。
もう一回ぎゅうってしてくれる。


「……めんどくさいって言った!」
「ああ言ったね」
「…………」
「めんどくせえなって思うのに、なんでこんな可愛いのかな」
「……加藤さんって変わってますね」
「Aに言われたくない」


加藤さんはさっきより力を入れて私を抱きしめた。
回された腕が背中を通って腰に下りていく。


「職場には、持ち込まないのね?」
「はい」
「じゃあ、こっちに後輩持ち込むなよ?」
「……えっと」
「加藤さんって呼ぶのなしね、あと敬語」
「努力します……」
「ふふ、やりなおし」


加藤さんがそう言って、私にキスをした。
ビールの味がほんのりする、ひんやりした唇。

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設定タグ:NEWS , 加藤シゲアキ , じぇにー   
作品ジャンル:恋愛
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ぺんぎん(プロフ) - 素敵なお話ありがとうございます。お話の中の一人一人が丁寧に描かれていて、ほんとうにほんとうに素敵です。これからも応援しています。 (2020年3月4日 1時) (レス) id: f15aa4c564 (このIDを非表示/違反報告)
すもも - 完結おめでとうございます!いつもこっそり拝見しておりました(笑)じぇにさんの作品はどれもひらがなと漢字の使い分けが絶妙で、ニュアンスがとっても丁寧に伝わってくるところが大好きです。新たなじぇにさんの作品に出会える事を願いつつしばらくこの作品に浸ります。 (2020年1月28日 23時) (レス) id: 7bc6073c03 (このIDを非表示/違反報告)
もか - いつも楽しく拝読しております!主人公ちゃんの不安や怖がりな部分と、それでも弱いだけだったり気持ちが揺らいでるわけではない芯の強い部分がようやく報われたような気がして、このまま幸せになってほしいと感じました、、これからも楽しみにしています! (2019年12月28日 0時) (レス) id: 729ed0c340 (このIDを非表示/違反報告)
あやぽにょ - やっとですね(;_;)よかった、、、! (2019年12月18日 1時) (レス) id: f2bcd42dc1 (このIDを非表示/違反報告)
yume.(プロフ) - 初めまして、いつも楽しく読ませて頂いてます!増田くんのストーリーから読んでいて、この物語は主人公ちゃんの名前を若菜にして読んでるのですが、加藤さんの幼馴染の名前を自分にしたくて名前の設定を増やして貰えませんでしょうか、、、? (2019年12月15日 19時) (レス) id: 28edb9fce5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:◯じぇにー◯ | 作成日時:2019年11月5日 21時

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