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暗闇の中、ふたりで三角座り。
「……見てたなら声かけろよ、探してたのに」
「声なんかかけれなかった。片想いに戻っただけだと思ったら、納得もしたし」
「俺がこんなにAがすきすき言ってんのに、なんでそこで納得するのか不思議なんだけど」
「だって、そもそもお話の中で言ったら、私完全に邪魔じゃないですか？新参者の職場の後輩が、幼なじみカップルを壊すみたいな」
そこまで言って、本当に悲しくなった。
加藤さんはよいしょ、って私の後ろに座って、足の間に私を座らせてくれる。
ぎゅうってだっこ。
しばらくだっこしたあと、加藤さんはつぶやくみたいに言った。
「今日同期飲みだったんだけど、彼女ができてー、可愛くて仕方ない話してきちゃった」
「……彼女」
「Aに決まってるでしょ？」
言いながらあくびしてるんだけど。
「……まりなとは、本当に幼なじみだったの。向こうにはずっと好きなやつがいたし、今もいるよ？彼氏」
「……彼氏がいるから諦めたんだ」
「なんで俺がフラれる設定なんだよ」
「だってそうかなって」
「俺が勝手にすきだった時期は確かにあった。去年から今年の初めくらい。全然報われなかったけど」
「やっぱりそうじゃん」
「今年の初め、初詣の時かな。俺にしとけ、って言ったことがあって。向こうもまぁ精神的に弱ってた時期だったから拒否も否定もしなくて。Aにつきあってるかどうか聞かれて、わかんないって言ったのはそれが理由」
「…………」
聞かなきゃよかった、って思うくらいのしんどさ。
初詣で切なそうに幼なじみさんと手を繋ぐ加藤さんを見たことがある。
その時の加藤さんは幼なじみさんがすきだったんだ。
「俺にしとけ」って言ったんだ。
「でもまぁ、結局は向こうだけじゃなくてお互い違ったんだな、っていうのは俺もいろいろあってからわかったんだけど」
「…………」
「だってAがすきだなって自覚しちゃってからの俺、おかしくない？こんなにだだ漏れるものなんだなって自分でもびっくりしたんだけど」
嬉しそうな声でそう言って、加藤さんはぎゅうって抱きしめる手を強めた。
顔を覗き込むみたいに後ろから近づいてきて、私の頬に唇で触れる。
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ぺんぎん(プロフ) - 素敵なお話ありがとうございます。お話の中の一人一人が丁寧に描かれていて、ほんとうにほんとうに素敵です。これからも応援しています。 (2020年3月4日 1時) (
レス) id: f15aa4c564 (このIDを非表示/違反報告)
すもも - 完結おめでとうございます！いつもこっそり拝見しておりました(笑)じぇにさんの作品はどれもひらがなと漢字の使い分けが絶妙で、ニュアンスがとっても丁寧に伝わってくるところが大好きです。新たなじぇにさんの作品に出会える事を願いつつしばらくこの作品に浸ります。 (2020年1月28日 23時) (レス) id: 7bc6073c03 (このIDを非表示/違反報告)
もか - いつも楽しく拝読しております！主人公ちゃんの不安や怖がりな部分と、それでも弱いだけだったり気持ちが揺らいでるわけではない芯の強い部分がようやく報われたような気がして、このまま幸せになってほしいと感じました、、これからも楽しみにしています！ (2019年12月28日 0時) (レス) id: 729ed0c340 (このIDを非表示/違反報告)
あやぽにょ - やっとですね（；＿；）よかった、、、！ (2019年12月18日 1時) (レス) id: f2bcd42dc1 (このIDを非表示/違反報告)
yume.(プロフ) - 初めまして、いつも楽しく読ませて頂いてます！増田くんのストーリーから読んでいて、この物語は主人公ちゃんの名前を若菜にして読んでるのですが、加藤さんの幼馴染の名前を自分にしたくて名前の設定を増やして貰えませんでしょうか、、、？ (2019年12月15日 19時) (レス) id: 28edb9fce5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：◯じぇにー◯
| 作成日時：2019年11月5日 21時
