《6/20完結》君の嘘、僕のウソ【N.K 0617BD】 (ページ31)

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31…side N ページ31

　
　
　
向こうの方から歩いて来る二人組の女性。

「………あ…」

ヒールをカツカツと鳴らして、ポニーテールの髪を揺らしながら歩く大人の女性の姿が。

「……いた……」

あの頃と一つも変わらない瞳が…そこに見えて。

思わずオレの足が止まった。

見た感じ、隣の女性はもっと綺麗でスタイルがいいみたいだけど、あの瞳がオレを捉えて離してはくれない。

楽しそうに笑って歩いてる。

何を話してるかなんてわかんねぇけど、彼女の笑顔を見るだけで、イヤに胸がときめく。

(やっぱりあの子はオレの……運命の人だ…)

声をかけたい衝動がオレを襲う。

けど、ゆっくりと迫るその距離にオレのドキドキメーターのキャパが限界を迎えて。

(………――――)

いつも決めた女にはなりふり構わず「ねぇねぇ」とか声をかけていたのに

そん時は、何かが詰まったみたいにオレの口から言葉は出てこなかった。

「なっさけねぇ…オレ…」

結局すれ違った後も
二人並んで歩く後ろ姿を目で追うしかなくて。

「はぁぁぁ………」

オレのでっかいため息は真っ白く夜空を上って、すぐに消えた。