《6/20完結》君の嘘、僕のウソ【N.K 0617BD】 (ページ29)

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結婚を意識してか、今まで以上に綺麗になっていく詩乃。

ホント自慢したくなるほど完璧なオレの彼女。

けど、それに比例するようにオレの心を占拠していくのは、あの純粋な瞳…。

彼女の家に挨拶に行ったとき、
たった一秒、目が合ったそれだけのことに
彼女と積み上げてきた色濃い２年間の思い出が
オレの記憶から消されつつあった。

けど、あんなダメダメだったオレを変えてくれた詩乃を、オレの気持ち一つで裏切るわけにいかない。

すっげぇ葛藤した。

苦しいくらい。

悩んで、悩んで、悩み抜いて。

オレは…

「カズ……？」
「ゴメン、詩乃、、」

「別れよう？」

……結局、彼女との別れを選んだ。

たった一言。"別れよう。"って
電話口でそう告げて。

彼女の言葉を待たずに電話を切って
すぐに携帯の電源を落とした。

(ゴメン、ホントにゴメン………)

画面が真っ暗になった携帯をにぎりしめて、何度も何度も心の中で謝った。

自分勝手に、自分の気持ち押し付けて、ゴメン。

君を幸せに出来なくて、ゴメン。

君のことを想うなら、言うべきなんだろうね。

別れたい理由を。ちゃんとね。

けど、君を想うからこそ、言えないこともあるでしょ？

すぐに忘れられるよ、君なら。

こんなバカな男のことなんて……。