《6/20完結》君の嘘、僕のウソ【N.K 0617BD】 (ページ17)

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それからは、カズの家から会社に出勤する日々が続いた。

私の服や下着、身の回りのものなんかは、私をここに連れて来たときには、すでにカズの家に運ばれてて。

あぁ、最初っからもう逃げ道なんてなかったんだ、って。

もう私のこと、オとす準備万端だったんだな、って。

たまたま仕事だったこの日も
一日中ずっと上の空で

結局、約束してた奈央との飲みも仕事で疲れたからって断った。

誰にもこのことは話せない。

家族にも。

もちろん親友の奈央にも。

けど心ん中では
(絶対、負けてたまるか！)
強い意志をしっかり保ってた。

それでもたまに襲ってくる空虚感。

「何やってんだろ、私」

そんなときは窓に映る私に問いかけてみたり。
ホント、窓に映る自分だけが唯一の話し相手だった。

(あーぁ…)

今日もぼんやりとデカい窓の外の景色を眺める。

これまた異様にデカいダブルベッドでスマホをいじりながら。

カズが10時くらい、私が起きてる時間帯に帰ってきたのは、初めの二日だけ。
それ以降はてっぺんを過ぎてから帰るのが当たり前になった。
しかも毎日毎日違う女の匂いを纏わせて。

結局さ。惚れさせるとかなんとか言って、口からの出まかせなんでしょ？まぁ、私はね、アンタの本性知ってるから？別にほったらかしにされたって構わないけど？

こんなほったらかしにするくらいなら家に帰らせろって話だよね。

スマホで、日課の天気予報を見る。

「うわー、明日雨じゃん…」

明日はあいにく雨らしい。

気圧の変化で頭が痛くなる私にとっては最悪な天気。

「今のうち、頭痛薬出しとこ…」

っていつのまにか出来てた私専用のサイドボードの引き出しから薬を出しておく。

ちょうどその時、手に持っていたスマホがブルブル、と着信を告げた。

もう11時だ。

こんなに夜遅く電話をよこすなんて、カズしかいないだろう、って画面も見ずにタップした。