二人 ページ8
side You
病院に行かなくてもいいのかと聞く彼に大丈夫と断り家に送ってもらった。
初対面の男の子に抱き着いてる現実に脳が追いついていない状況だけれど、初めての二人乗りの慣れない浮遊感にビビってしがみつく腕の力を弱めることが出来ない。
「そういやーさ、名前なんてーの?」
「…A」
「へえー。オレ、としみつ」
「としみつ…くん。」
「としみつな。くん付けはなんかムズ痒い」
「…としみつ。武将みたいで格好いい」
「はは!武将かぁ。悪くないな」
彼は自転車を漕ぎながら色々しゃべってた。
あの車かっけーなとか、
この店ウマいよなーとか。
私はうんとかそうだねとか簡単な返事しかできなかったけど、気を悪くする様子もなくずっと何かを見つけてはしゃべってた。
いつもみたいに頑張って言葉を探さなくても良かった。
家に着いて彼のお腹に回していた腕をほどいた。
くっついて温かかった部分が外気に触れて冷えて、逆に彼の体温を実感する。
「あ、ありがとう」
「ちゃんと湿布貼りんよ」
彼は自分の自転車を取りに堤防に戻るらしい。
「色々とごめんなさい…」
「ちょうど散歩したい気分だったもんで大丈夫。じゃーな、A!」
そう言うと颯爽と戻って行った。
名前はとしみつ。
同級生。
あのバンドが好き。
まだそれしか知らない。
ひねった足首に湿布を貼って、ベッドに横たわる。
ちょっと強引だけど、いい人だったな。
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SOPHY(プロフ) - みいさん» ありがとうございます♪ちょっと間があいてしまってますが頑張ります! (8月1日 1時) (レス) id: c899c159b0 (このIDを非表示/違反報告)
みい(プロフ) - 私もそう思います!素敵なお話をありがとうございます(*^^*) (7月30日 0時) (レス) id: 206897991a (このIDを非表示/違反報告)
SOPHY(プロフ) - みいさん» 個人的にですが彼はめちゃくちゃ青春が似合うなと♡ (7月25日 11時) (レス) id: c899c159b0 (このIDを非表示/違反報告)
みい(プロフ) - 爽やかな青春を感じてとても好きです。 (7月23日 22時) (レス) @page12 id: 206897991a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:SOPHY | 作成日時:2022年12月11日 1時