君のことが… (ページ2)

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大勢の生徒が正門をくぐったのを確認し、生徒会が引き上げようとした時、自転車の急ブレーキ音が響き渡った。
　驚いて彩希が振り返ると、茶髪のショートカットの女子生徒がサドルの上に座り、息を切らしていた。

「あっぶない…、セーフ…」
「岡田さん、また遅刻ですか？」
「はぁ？まだセーフでしょ！」
「始業10分前のチャイムは既に鳴っています。それに茶髪は校則違反だと前にも注意したはずです」

　岡田奈々。彩希と同じクラスメートであるが、度々校則違反を犯す問題児として、生徒会の間でも話題の人物であった。彩希は彼女を見かける度に、何度も注意をするのだが、彼女が言うことを聞いてくれたことは一度もなかった。

「これは地毛なの！どうしようもないでしょ！」
「だったら黒く染めたらいいじゃないですか」
「あのね、黒く染めたら染めたで色が浮いちゃうの！なんで分かんないかなぁ…」
「そんなの分かりたくもありません。それより、もう始業チャイムが鳴ったので遅刻ですよ」
「えっ！？」

　押し問答している間に、他の生徒会メンバーたちは既に教室に戻り、他の生徒たちも授業の準備を行っていた。

「アンタがいちゃもん付けるから遅刻しちゃったじゃないの！」
「私は普段から岡田さんに言っています。それを守らないあなたが悪いんじゃないんですか？」
「ほんっと性格悪い…」

　そうぼそっと呟き、ペダルを再びこぎ出した彼女の背中を見つめ、彩希はむすっと頬を膨らませた。