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「そうだ!」
降り続ける雨を前に、奈々は突然大声を発した。その声に彩希は思わず肩をすくめ、驚いた。
「なんですか、突然…」
「村山さんさ、"凛太郎"…じゃなくて、この子を飼って貰えないかな…?」
「私がですか…?」
思わぬ彼女の提案に、彩希はすっとんきょうな声を思わず出した。
「村山さんの家って、結構裕福なんでしょ…?本当は私が飼ってあげたいんだけどさ、お父さんが猫アレルギーで…」
「そんな、私に言われても困ります…。うちも父が厳しいので、私の一存では決められません…」
「そっか…」
残念そうに俯く奈々の横顔を、彩希は申し訳なさそうに見つめた。
しかし奈々は再び顔を上げると、また新たな提案を彼女に投げ掛けた。
「じゃあさ、うちらでこの子の家族を見つけるってのはどう?」
「私たちが…?」
「このまま放って置くわけにはいかないし、この子には幸せになってもらいたいからさ」
そう言って彩希に近づいてきた奈々は、彼女が抱き抱える子猫の頭を慣れた手つきで撫でた。
ミーと鳴く子猫を優しい表情で見つめる奈々の顔を、彩希はじっと見つめていた。
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作者名:神楽リュウ | 作成日時:2019年10月17日 7時