ep17 ページ17
今日の撮影が終わり、急いで購買へ向かった
ここに来た理由は、岸くんが元気ないのがやっぱり気になって、差し入れでもしてちょっとでも楽になればいいなって思ったから
でも岸くん、まだいるのかな？
恐る恐るさっきの関係者部屋に入る
A「失礼しまーす…」
岸「あ、Aちゃん！お疲れ！どうかした？」
よかった…まだ居たんだ
A「あの、これよかったら」
差し出したのは、購買で買ったばかりのコーヒーとお菓子
岸「ん？俺に？」
不思議そうに、袋に入ったコーヒーとお菓子を受け取る
A「はい。なんかさっき元気なさそうだったので、よかったらどうぞ！あっ！でも図々しいですよね、ほぼ初対面の人からそんな心配されたくないですよね。余計なお世話だったらすみません！」
岸「ううん笑 嬉しい。サンキュ」
A「…いえ、頑張ってください！それじゃ失礼します」
岸「…あのさ、Aちゃん」
帰ろうとしたその時、岸くんが私の手を掴んだ
A「？」
岸「あー、その、」
何だろ…？
岸「嫌だったらいいんだけど…、呼び捨て、してもいい？」
A「！？」
岸「深い意味はない！ほんとに！！…ただ、もっと仲良くなりたいな、みたいな笑」
焦ったように早口になる岸くん
そこまで焦らなくても私は何も言ってないのに…笑
A「…嫌じゃないです！」
岸「…じゃあ、これからAって呼ぶからな！後からやっぱ嫌はなしだから！」
A「分かってます笑」
呼び捨て、か
“A”
―そう呼ばれたとき、私は永瀬くんのことを思い浮かべた
永瀬くんは、どんな気持ちで、どんな意味で呼び捨てしたのか
ぼーっとする私を岸くんが静かに見つめていたなんて
私は気づいていなかった
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作者名：なのか | 作成日時：2019年1月13日 0時
