strawberry candle (ページ9)

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「ばあちゃんから聞いたんだけどさ、お前毎日お見舞い来てくれてたの？」

『…うん、だって心配だもん』

「そっか～…でも俺の方が心配だわ笑」

涼介の口が微かに動いた

でもそれは風の音にかき消されて…

カーテンが大きく揺れて一瞬にして涼介と私の間に壁を作った

次に涼介の顔が見えたときには涼介の儚い笑顔も消えていて

代わりにいつもの涼介の笑顔が見えた

「ほら、文化祭のこと俺にも聞かせてよ」

『…あのね、うちのクラスはハーブカフェやることになったの

　キザだよね笑ハーブティーとかケーキとか上品な感じにするんだって』

「へ～、なんか想像してたのと違ったわ笑

　コスプレカフェとかお化け屋敷とかするものなのかと…」

『私もそう思ってたよ笑

　っていうか、涼介誰から文化祭事聞いたの？』

「あ～えっとね、これ」

涼介が取り出したのはいかにも少女漫画のオーラを放った漫画

『涼介、少女漫画読むの好きなの？』

「ん～ま、面白いんじゃね？笑

　ちょこちょこ俺らの関係に似た描写も出て来るし？笑」

『えー！何それ！気になる、タイトル教えてよ！』

「むーり、それにほら、もう面会終了時間だよ笑」

タイミングよくアナウンスが流れた

「ざんねーん笑」

『涼介、腹立つー！！笑』

病室の扉を閉めれば涼介が見えなくなる

蒸し暑い風に当たりながら帰路につく

「俺は」

『私は』

「最期まで君と」

『いつまでもあなたを』

「傍にいていいのかな…」

『好きでいていいのかな…』

熱帯夜は自然と心にざわめきを呼ぶ

文化祭まであと4日